ろっぴーのブログ

大好きな方々を愛でたい

SPERO 8/10マチネ感想

望海さんの第2章の幕開けであるSPERO、ライブ配信の翌日に観て来ました。
この日のチケットをとったのはラミン・カリムルー氏と望海さんの共演という奇跡の瞬間をどうしても生で体感したかったからなのですが、我らが望海風斗さんのコンサートですから、当然ゲストなしのパートも耳福・眼福のオンパレードで実に絶品。
今後通常回も観る予定のためセトリが重複する部分もありますが、せっかくなので全曲の感想を残しておこうと思います。


Changer
ドン・ジュアンより。
望海さんが公演で歌っていたときの「Changer…」という第一声があまりにも深みがあって甘美で。
初めて聴いたときにその一瞬で虜になってしまった曲で、いつか生で聴くことができたらとひっそり願っていました。
なので、初日終演後の時間帯にドキドキしながらレポを検索し、この曲が1曲目と知ったときは心の底から歓喜

今回はマリアのパートも望海さんの歌声
ドン・ジュアンのパートと大げさに声色を変えるような歌い方はしていませんでしたが、女声らしい柔らかくて少し高めな発声と 男役時代の声に寄せた深くて太い歌声を軽やかに使い分け、出だしから絶品だ…と引き込まれました。
配信ではそんなことなかったのに、劇場で聴いたら勝手に涙が出てきて自分にびっくり。
たぶん、上述のように特に思い入れがある大好きな曲であることと、4月に観たfff/シルクロード以来 本当に久々に浴びる生の望海さんの歌声だったこと。
それに加えて、次にこの劇場でこの曲が歌われるとき、舞台上にいるのは真彩ちゃんなんだ、と思ったら出てきた涙だったのだと思います。
とはいえ、初っ端からこの調子だと終演の頃には顔がぐしゃぐしゃだぞ、とそれ以降は泣かないように気を引き締めました(笑)


ここで望海さんからご挨拶。
前日はラミンとの初共演を終えた興奮で、眠れなかったとのこと。
それでも「元気です!」とアピールなさっているのが大変おかわいらしかったです☺️
あとは、「英語の勉強を始めました!」というお話。

「ご存知の方もいると思うんですが、去年の自粛期間にもチャレンジしていたんです。
でも、私インターネットで出てくる"英語ができない人の条件”に全部当てはまってて!
ドリルを1回やって終えてしまうとか、読みができても話せないとか…
でも、良い先生を見つけました!なので、これから頑張ります。
今日、皆さんの前で宣言します!」
とのことでした。


1st salon : Cinema
この国に生まれて
アル・カポネより。
今回のセトリに入っているのを知ってから公演の映像を観て何度か聴いていましたが、比べてみると明らかに歌声がパワーアップしてますよね望海さん。
元々素晴らしい歌声をもっているのに、トップに就任してからも変化が明確に現れるほど努力を重ねていらっしゃったんだなと改めて実感。
放心していたのか何なのか、この曲は劇場での記憶があまりないのですが、配信で聴いたときはラストの「俺はイタリアーノ」が より柔らかくシームレスな発声に進化しているのが印象的でした。


ここで望海さんが手にしていたマイクを回収してくれる村井さん。
私が見た回、てっきり「今日はスペシャルな方が来ている」=ラミンのゲスト出演のことだと思って呑気に聞いていたのですが、終演後に他の方がレポしているのを見たらスペシャルな方が観に来ている」だったとか。
"あの方"が客席にいらっしゃったわけですからね!!



As Time Goes By
カサブランカより。
1st salonでの望海さんは、たぶん舞台で男役を務める女優さんという設定。
公演を終え、この曲に移るタイミングで羽織っていたコートを脱ぐと、メンズライクなかっちりしたラインから柔らかなシルエットの袖が現れ、一気に女性らしさが増す雰囲気に。衣装の工夫・こだわりも素敵です。

そしてこの曲から歌い方もがらっとチェンジ。
特に違いがわかりやすいのはhiB♭あたりの音域でしょうか。1つ前の「この国に生まれて」でも出していますが、男役としては最高音域なのに対して女声の音域では中間くらい。
張り上げるように出していたのから一転して軽くふんわりとした発声になっていて、切り替えの自由自在さに驚かされました。

Teery's Theme
ライムライトより。
この前に昔の恋を思い出すようなセリフが入り、感傷的なムードの歌声。
fffの真彩ちゃん(ウェルテルの場面)などを思い浮かべるとわかりやすいですが、強く思いっきり歌うよりも強弱を抑えて美しく歌うほうが力が要るし難しい。
それを難なくこなし、歌詞もはっきり伝えられる望海さん。当たり前のように慣れてしまっている自分が怖いですが、これって相当ハイレベルなことですよね…
途中から、座ったまま歌うという さらにハードル上げることもやっていらっしゃいます。

Charade
シャレードより。
「燃えるキス」で、男役としてショーで歌うときの名残のようにわずかにキザりが入った歌声になっていてにやけました(笑)
この曲の注目ポイントはやっぱり男性(過去の恋人の幻影?)と組んで踊る望海さんですかね。
この回のスペシャルゲストダンサーは柳本さん。
ニゾンの振付で、望海さんがフリーレッグ(軸足でない足)を伸ばす瞬間がとても綺麗なのが印象的でした。さすが!


再び公演へ向かう朝、コーヒーをテイクアウトする望海さん。
店員の工藤さんにライブ配信の回と同じようなアニメ声っぽい感じで「ありがとうございましたー!」と言われ、思わず笑ってしまってました(かわいい)

そして劇場の舞台に立ち、マイクを受け取る。
ここの担当も村井さん?

村 「昨日のライブ配信は大盛況だったみたいですね!」
望 「そうなんですね!嬉しい。私も観たかった~」
村 「…観たかった?(ご自分も出てたのに??と言いたげ)」
望 「そう!…もう、キャラ迷子よ!」

というニュアンスの、はちゃめちゃな展開に(笑)
根が我々と同じオタク気質(と私は勝手に思っています)な望海さんですもの、特に前日はラミン出演回だったしそりゃあ観たかった!っていう発想にもなりますよね😌


愛した日々に偽りはない
オーシャンズ11より。
私!テスになりました!!
突然なんだ、という話ですが。
いや、望海さんこの曲で「それは君だけだ」とか「テス、君だけは俺の~」の歌詞に合わせて客席に手を差し伸べてくださるじゃないですか。
前日に配信を観ていて、これは明日座る席がある方向ではないか…?と期待していたのですが、見事!テスになれました!!
…厳密にいうと、私が座っていたよりも少しばかり上手側に視線をやっていらっしゃった気がしなくもないですが、それは気にしないことにして。
だってオタクは思い込み力が命ですもの、私はあのときテスになった!と思うことにします!!

女優さんのオフモードから一気に纏うオーラを変えてステージ上段に伏し目でスタンバイする姿、イントロと共にスポットライトを浴びて華やかな笑顔を上げる姿、ポケットに手を突っ込んで歩く姿。
あんなかっこいい望海ダニーを見せられたら、誰だってテスになりたくなるでしょう?



2nd salon :Jazz
Lover Come Back to Me
配信で観たとき、この曲の望海さんがあまりにもかっこよくて! ここは絶対にロックオンしようと決めてひたすらオペラを向けていました。
1st salonで着けていたフィンガーウェーブのウィッグを外して地毛をさらっとセットし、男役時代を彷彿とさせるビジュアルに。
極めつけはハットですよ、ファン心をわかりすぎている。伏し目になって縁にすっと指を滑らせるお決まりの仕草がかっこよすぎます。

この曲はメロディーの小気味よさがイイですね!
"When I remember ev'ry little thing you used to do“で軽く首を振りながら歌ったり、間奏の間 椅子に腰かけてテーブルを指で叩きながらリズムをとったり。
そういう細かい仕草がいちいち絵になるところがさすがです。

Chicago
この曲も抜け感のある歌い方が心地いい。
なんとなくNZMのNancy Mulliganを思い出すような。
間奏でのダンスもかっこいいし、ゴスペローズの皆さまと肩を組んで脚上げをする振りはロケットを想起させられて胸熱です!!

Misty
シンプルな黒のブラウスも素敵。
最後のこの曲で一気にしっとりとした雰囲気に。
ゆったりした甘いメロディー、こういう曲ほど難しいんじゃないかなと素人ながらに感じます。
本当に上手い人でないと安心して聴いていられないと思うので…



3rd salon :Musical
Till I Hear You Sing
Love Never Diesより。
ここでついにスペシャルゲスト・ラミンが登場。
イントロを聴いて鳥肌が立ちました…まさかラミンのファントムを生で聴ける日が来るとは。
この後のトークで望海さんがリクエストしてこの曲を歌ってもらうことになったとおっしゃっていましたが、そのチョイスに心から感謝します。
彼がこの作品でファントムを演じていたときの音源を聴いたことがありますが、最初から激情を露わにしたような、荒々しささえ感じる歌い方でした。
それに比べると、今回は滾る思いを心の中に秘めているような歌い出しから始まり、クライマックスに近づくにつれて力強さが増して最後は感情を迸らせる…という曲全体を通してさらにドラマチックな魅せ方に。
この変化は、当時より彼が年齢を重ねたことによるものなのでしょうか。
何にせよ、大変貴重な体験をさせていただきました。凄かった…
私、この曲でラミンとオペラ越しに目が合いました🥰
テスは無理やり感ありましたが、これは確実!幸せな一瞬だった~。


歌い終えたラミンへの大きな拍手の中、パチパチ手を叩きながら望海さんが登場。
通訳の岩澤乃雅さんもここからは一緒です。

興奮冷めやらぬ様子の望海さんがいろいろ賛辞の言葉をおっしゃっていたのですが、特に覚えているのがこのやり取り。
望 「本当に歌声が素晴らしくて!クリスティーヌさん早く歌ってあげて〜!って思っちゃいます!」
ラ  「I think so too.」

あとは、
望 「昨日は寝られなかったんです!でも元気です!ラミンさんは寝られましたか?」
ラ  「Yes, I did.」

テンション高い望海さんに対しさらっと答えるラミンに客席笑。
ここに限らずラミンはずっと通訳なしでもすべて意味がわかるくらい平易な英語で話してくれていたので、そのシンプルな答えゆえに笑いが起きるという。
ラ  「とても幸せな気持ちと興奮で、眠ることができました」 とのこと、良かったです☺️
お話に一区切りつくと、お二人のデュエットへ。


闇が広がる
エリザベートより。
配信のとき、望海さんが曲名を告げた瞬間の客席の盛り上がりが凄かったですね。
画面越しでも伝わってきましたし、その場にいた方々の興奮は私にもよくわかります。
絶対とてつもないデュエットになるでしょうから。

そして実際、ものすごいものを観ました。 余計な力が適度に抜けたのか、1回目だった前日よりさらに完成度が上がっていたと思います。
お二人の歌声から発せられるパワーが予想を超えていました。
劇場では後方のお客さんのために前のめりにならないようにする、というのが常識ですが、わざわざそれを意識しなくても圧倒されて椅子の背もたれに押しつけられてしまうような…初めての感覚でした。

Anthem
CHESSより。
私はこちらのブログで感想を上げたように、去年の冬にラミンが来日したCHESSコンに行っていたので、特に美しくて記憶に残っているこの曲を聴けたのが嬉しかったです。

闇広は完全に男役の発声で歌っていたのに、歌い終えた直後に 開拓し始めたばかりの女声であそこまでラミンと渡り合える望海さんはやっぱりただ者じゃないと感じます。
歌声の響きや声量、その他諸々で圧倒してくるラミンに果敢に挑んでいくような。
同時に、ファントムの歌声に導かれて覚醒していくクリスティーヌをも想起させるような。
お二人だけが作れる、他人には踏み入ることのできない世界。今の望海さんだからできたデュエットだと思います。
日本のミュージカル史に残る時間かもしれない、と拝みたくなりました。

特に最後のロングトーンは印象的でした。
男役の音域・発声だったら、ラミンと同じくらい伸ばせるのではないでしょうか…秒数を測ったわけではありませんが、ファントム1幕ラストは今回ぐらい長かった気がします。
それくらいのポテンシャルをもつ望海さんが、一度ブレスを入れないといけないほどパワフルなラミン。
これからさらに時間をかけて新しい声域を磨いて、次に共演するときには完全に対等なデュエットを聴くことができるのでは、と思うとわくわくします。
大阪千秋楽では、望海さんが「今回は倒れそう…と思って男声同士のデュエットにしたけど次は男声×女声に挑戦したい」と明かしていたとか。
必ずや次の機会があると信じて!!


さて、デュエット後のトークはこんな感じでした。覚えている限りですが…

望 「昨日とは違う緊張感が…」
ラ  「同感です」

望 「(闇広は)そっち側(ラミンの方)に引きずられそうでした」
ラ 「危険な感じでしたね」
望  「死の方に…」
ラ  「Onegaishimasu!Ah, no…(乃雅さんに助けを求める) Gomen-nasai!(たぶん死なせてしまうなんてとんでもない、みたいなニュアンス。かわいい)」

Anthemについて望海さんにCHESSコンでもこの劇場で歌った曲ですよね、と振られて
ラ  「ここでこの曲を歌うのはとても好き。風斗さんのハモりも。
国を超えて、言語が違っても心を理解し合える」

望海さんから質問1
望 「ファントムを演じる上でこだわっていたこと、大切にしていたことはありますか?」
ラ  「12歳でファントム(オペラ座)を観たときにこれをやりたい!と思ったので、自分にとってはdream come trueでした。
ファントムは、お客様が人殺しに恋してくれるようにしないといけない役
(Music creates beautyみたいなことをおっしゃっていた気がするけど記憶が曖昧。彼は美しい容姿の持ち主ではないけれど、みたいな流れだったのかな)」
望 「おっしゃったこと、すごくわかります。ファントムでエリックをやるにあたって、ラミンさんの映像を何回も観ました。
つーっと涙が出てくるんです…ふわああって(謎の擬態語に客席笑)」
ラ  「Oh...(客席さらに笑)
風斗さんは美しい女優さんです。私はあなたのファントムが見たい」
(客席、同意の拍手)

ラ  「ファントムの仮面はいくつ持っていますか?」
望 「(指を折って1、2…と数えて)Four?」
ラ  「1つ交換しましょう、次に来たとき持ってきます」
望 「次の約束ができました!!!(大はしゃぎ。かわいい)
すごいパワーがもらえそう!」

望 「もう一つ質問いいですか?」
まだ訊くんですか、みたいな雰囲気で客席笑

望海さんから質問2
望 「日本で好きな食べ物は何ですか?」(かわいい)
ラ  「日本に来ると痩せて筋肉が増えるんです。今回10ポンド(6kgくらい)落ちました。
寿司、ラーメン…(痩せたというわりにジャンキーなチョイスで客席笑) 鉄板焼き。和牛、魚、ガーリックライス!Gohan, garlic, perfect!」客席爆笑

ラミンから配信のときと同じく“I think they(客席)want to hear you sing”とお声がけがあり、トーク終了。
望海さんが乃雅さんのお力も借りたという英語でラミンにメッセージを伝えていました。確か
"I want to share sing...あ、違う!もう一度言います!
I want to share joy of singing together!"
だったはず(かわいい)

そして上述の通り、英語はこれから頑張ります!スタンスな望海さんなのですが、ここで喋ったときも普通に発音綺麗なんですよね…
ファンの贔屓目ではなく、一般的にみてもいわゆるカタカナ英語感はほぼないはずです(私は全く気になりませんでした)
そもそもNZMも今回も、英語で数曲歌っていますがどれも滑らかな発音ですもんね。
きっと耳の良さが人並以上だからネイティブの発音を聞いたらちゃんと自分で再現できるんだと思います。
とはいえご本人としては歌声だけでなく英語に関しても並々ならぬ向上心をおもちのようで、今後の望海さんの変貌が楽しみですね😊

さて、ラミンからは「宝塚は日本のエンターテイメントにおいて重要な役割を果たしている。共演できて光栄です」と改めてメッセージが。
さらに最後の最後で、なんとラミンから望海さんへ日本語で「愛してます」!!!
当然望海さんはぴょんぴょん跳ねて大はしゃぎ。ああかわいい😇
笑顔と笑い声でいっぱいの幸せな時間でした。

ラミンと乃雅さんがハケた後、exhaustedといわんばかりの声で放心する望海さん(笑)
そのテンションでマイクスタンドを後ろから持ってきてスタンバイしてるのが可笑しい。
ジャケットのくだりは、「ここで上を脱いで、お客様に見ていただくという趣向でございま~す。今日はさらっと脱ぎます」と脱力した声で宣言し、間髪入れず「さらーっ」って言いながら脱ぐのがなんだかシュールで客席また笑。

その後もSPERO歌う前とか、唐突にI’m so very happy!などとつぶやき笑いを誘う望海さんでした。


Dreamgirls
Dreamgirlsより。
高音を出しつつ、男役の発声も生かしているのかな?という印象のパワフルな歌声。
とはいえ、この曲はどうしても歌声より振付を見るほうに集中してしまいます。
望海さん、ドーランか何か塗っていらっしゃる…?
ジャケットを脱いだ瞬間から、お肌が白い!って目を奪われます。腕が発光していらっしゃる…
かっこよくてかわいくて、最高にチャーミング。
大月さん工藤さんも危なげなく素敵でした。

星から降る金
モーツァルト!より。
たぶん、多くのファンが望海さんの歌声で聴きたいと思っていた曲ですよね。
穏やかなメロディーのわりにスタミナが必要な曲だと思うのですが、もうこの曲も歌えてしまうのか…とn回目の衝撃。
王様のセリフ部分で声色を変えるのも、決してわざとらしくない絶妙なバランスが見事。
ラストへ向けてぐいぐい引き込んでくる力強さに鳥肌が立ちました。
今回のセトリの中で、公演を重ねていく中でもっともっと進化して、大楽の頃には凄まじい完成度になっているだろう、と感じさせられる曲の筆頭です。


4th salon :J-pop
LA・LA・LA LOVE SONG
伸びやかなメロディーが望海さんの声によく合います。
ここでのお衣装がまた素敵!私は今回お召しの4着の中で一番好きです。
エストマークがしっかりされていて襟元が開いたデザインで、とてもお似合いだったけど望海さん骨格ストレートなのでしょうか?
他のお衣装もゴテゴテしすぎず、すとんとしたシルエットのものが多く感じましたが…
もしそうだとしたら骨ストの民としては大いなる希望ですね!望海さんのようなスタイルにはそうそうなれるものじゃないけど!! 振付で左右に大きくゆらゆらしているのがかわいい。

ここで柳本さんとのトーク。「昨日よりずっと落ち着いてますね」と言われていました(笑)
4th salonの前に披露された小林さんとのタンゴを絶賛する望海さん。


街の灯り
こちらも観る前に原曲を繰り返し聴いていましたが、キーを上げているせいかご本家とは歌い方が違うからか、ずいぶん違う印象を受けました。
何といってもファルセットが綺麗!
最後の英語詞は歌詞を調べても載っていないので、オリジナルのアレンジでしょうか?

月光
セトリやレポを見て、最も楽しみにしていたといっても過言ではない曲!
歌い始める前から、静謐な雰囲気に思わず背が伸びるような気分に。
望海さんの表情に集中したくて、オペラでずっと見ていました。

この曲、原キーでも問題なく歌えるはずなのにいくつか下げているんですよね。 もちろん終盤なので喉への負担に配慮した可能性もあるのですが、個人的にはキーを下げたことであえて男役に近い発声で歌っている部分があるように感じました。
そして、鬼束ちひろさんが「あたし」といっているところを「わたし」と発音していたこと。
そのために、私にはこの曲の歌詞が望海さんが男役として演じてきた人々の声に聞こえてくるのです。

I am GOD'S CHILD [私は神の子供]
この腐敗した世界に堕とされた
How do I live on such a field?
(こんな場所でどうやって生きろと言うの?)
こんなもののために生まれたんじゃない

マクシム、エリック、ヌードルス、ルイ、他にもたくさん…苦悩し必死にその人生を生きた、望海さんが舞台上で命を吹き込んだ人々の声。 歌い終えてふうっと息を吐いたのを見て思わずほっとしてしまうくらい、この曲を歌う望海さんは孤高に見えました。


始まりのバラード
一転、爽やかで明るい曲調に。
この曲だけではないですが、在団中と同じように所々でルバートをかけて絶妙なタメを作りながら歌う望海さんのリズムが大好きです。
望海さんの中音域を堪能できる曲ですね。
メロディーが綺麗だし、歌詞も元気をもらえるようなメッセージ。
だいきほファンとしては、「二人はまた出会うよ」という部分にお二人を連想してしまったり。
こちらもフルコーラスで、それどころか間奏でオリジナルになかったところにまでフェイク入れてますよね…?(震)
全く手抜きなく最後までパワフルな望海さんにもはや呆気にとられるレベル。
鋼の喉に底なしの体力…すごい。


アンコール
SUPER VOYAGER!
トップスターとしての望海さんの航海の始まりだった曲を、第2章の始まりにもう一度。
それだけでグッとくるものがあります。
男声のコーラスが入っているのも新鮮ですね。
ステージを動き回りつつ飛び跳ねつつ安定した美声を響かせる望海さん、本当に元気いっぱい!(笑)
このお姿を見られるだけでも劇場に足を運ぶ価値があるというものです。

SPERO
本当のラストはオリジナル曲。
望海さんが気持ちよく歌えるんだろうなと感じる音域で、メロディーも耳馴染みよく綺麗。
こちらも広い海に出航していく様が目に浮かぶような曲です。
途中にある"Believe in my music forevermore"という歌詞、無限の可能性をもつ望海さんにぴったりでお見事!


カテコでは、ラミンが黒のSPEROTシャツを着て再び登場。
「Special T-shirt!」と嬉しそうにアピールする望海さん。(かわいい)
ラミンは「Phantom’s black!」と反応。(優しい)

美しい音楽だけにずっと身をゆだねていられる、とても幸せな時間でした。
まだまだ各地の会場でこのコンサートが続いていくと思うと、これから初めて観る方々がどんな感想をもつのか、SPEROカンパニーの皆さまの関係性と共に公演がどのように熟成されていくのか楽しみです!
通常回と残りお二人のゲスト出演回もどうか配信されますように…!!

真彩希帆さんのデュエットをひたすら語る②

魅惑の宵
タカスペ2018で紅さんとデュエットした曲です。
星組で同じ舞台に立っていたお二人がトップ同士として再会したことが胸熱。
柔らかくそっと寄り添う真彩ちゃんの歌声、だいもん以外の方とのデュエットを聴くと 誰と歌っても合わせられるんだなと改めて感じます。
技術的に特にすごい!と思うのは最後のロングトーン
この高音、しかもこの弱さでこんなに長くキープできるなんて!
でも今の真彩ちゃんが歌ったらこのときの5倍は上手に聴こえるんだろうな、とも思います(笑)

美女と野獣
FNSでのパフォーマンスを観たときは心底誇らしかったですね…こんなに素晴らしい歌声をもつ美しい人たちが推しなんだぞ!と。
あれを観て宝塚に沼落ちした、という方もいるのでは?
真彩ちゃんのソロパートにだいもんの歌声が入ってくる構成がとても好きで。
しかも、冒頭の「かじかんだ 心にも 春がくる」の表現があまりにも天才!
震えるような“かじかんだ”からだいもんを見上げて花開くような笑顔で“春がくる”に移り変わっていくのに鳥肌が立ちます、何度聴いても。
一度きりの収録なのにここまでの完成度に仕上げてきたことが驚異的ですよね…
Many Thanksにもこの曲が収録されたことがとても嬉しい。
レコーディング風景を観ることができなかったのが惜しいですが、FNSで聴けなかったフェイクパートがまた凄い!
お二人がそれぞれ全然違うメロディーを歌っていること、だいもんもかなり高めの音程で歌っていることに 現役トップコンビとしてのだいきほが終わりに近づいているのを想起させられて胸が締めつけられます。
でも、メロディーはばらばらなのに歌い方のニュアンスがぴったり揃っていて…お二人の心はちゃんと繋がっている、と言い聞かせられているようで。
「めぐり逢い 惹かれ合う この奇跡 いつの世も 変わらない」に泣かずにはいられません😭

石を割って咲く桜
壬生義士伝の作品全体のクオリティーをぐっと押し上げてくれた、と個人的に確信している名曲。
物悲しくも美しい旋律、サビに向かって重なり強くなっていくお二人の声。
唯一ユニゾンする「風に乗って届け」の圧倒的な力強さ!
Many Thanksのボーナストラックでもありますが、最後の「しづ、必ず帰るからな」はなくてもよさそうなのに真彩ちゃんへのサプライズ(レコーディング時の表情を見るに、真彩ちゃんは予想していなかったっぽいですよね)で入れてくれただいもんに泣く…
もうご卒業を目前にして情緒がおかしくなってしまっているのか、Many Thanksは全体的にだいもんから真彩ちゃんへのBIG LOVE詰め合わせにしか聴こえないのですよ🙏

風のゆくえ/風のゆくえ(Ending)
はばたけ再演にあたり追加された新曲。
同じ曲なのに、クラリーチェが進むべき道を見通せずにいる冒頭と ヴィットリオと共に生きていくことを決意したラストでは印象がまるで違う。
真彩ちゃんが主旋律でだいもんの歌声が重なっていくような構成が珍しくて、真彩ちゃんのファンとしてはとても嬉しいポイントです。

韃靼人の踊り
MR!全ツ限定、だいもんが客席降りしてくれる場面でのデュエット。
毎回ここのレポがすごく楽しみでした!
舞台上からだいもんへの愛を届けようとする真彩ちゃん、なかなか真彩ちゃんの方を向いてくれないだいもんの夫婦漫才(笑)
しょんぼりする真彩ちゃんがとんでもなくかわいい!と思いながら円盤でリピしてしまいます。
とはいえ、だいきほが歌ってただ楽しいだけの場面になるはずもなく。
真彩ちゃんは涼しい顔で相当な高音を歌いこなしていらっしゃいます、凄い。

あなたがいるから
タカスペ2019での愛ちゃんとのデュエット。
2017ではだいもんがゆきちゃんと歌っていたので、肝心のだいきほでも聴いてみたかったー!とは思うものの、ときめきの原点の白城あやかさん回で共演したご縁もあるのでデュエットを聴けて嬉しかったです(その後GRAPHの表紙でもご一緒しましたね)。
真彩ちゃんの氷のような硬質で透き通った声がとにかく凄い!
「ありますか」の響き、どうやったらこんな声が出るの…と思うほど。
アダルティーで危険な香り漂うお二人の雰囲気にドキドキでした。

皇帝と皇后
幼少期のヌードルスとデボラが夢を語り合う曲。 未来の大きな可能性を信じて希望に満ちている二人の純真な笑顔が眩しくて切ない。
デボラのナンバーにはこの曲の旋律が繰り返し出てきて、もしかしたらヌードルス以上に彼女の方がこのときの思い出に縋るような気持ちだったのかな、と感じたりもします。

いい夢だけを
再会した二人。
サビの「いい夢だけを〜」でユニゾンするお二人の声の どこまでも広がっていきそうな豊かな響きが絶品。
だいもんが歌詞を歌う裏で真彩ちゃんの「Ah───」がクレッシェンドしつつ音程を上がっていくのが心地良いし、ヌードルスに寄り添いながら背中を押しているようで美しいです。

愛のひとひら
ワンスのナンバーで、個人的には一番好きな曲です。
お二人が一緒に歌うパートは少ないし、派手に歌い上げる曲でもない。
でも、お互いへの思いは同じでも結ばれない選択をしたヌードルスとデボラの関係の美しさ、切なさに胸打たれる。
トップコンビとしてたくさんの時間を共有しただいきほだからこそ完成させることができたデュエットだと思います。
真彩ちゃんの「しまっておこう」の自分に言い聞かせるような響き…😢
サヨナラショーで若かりし二人の姿でこの曲を聴けて感無量でした。

輝く未来
FNSで新妻聖子さんと歌ったときも 憧れの人と共演する夢が叶ったというシチュエーションだったのでとても感動的でしたが、やはりのぞコンではそれ以上に圧倒的でした。
Cパターンは初日がライビュ・配信日だったため、事前にセトリを知ることができず。
You Raise Me Upを見事に披露した真彩ちゃんがこの曲を歌い始めたとき、もしや…?と思いながらも心の準備ができなくて、せり上がってきただいもんのキラキラしたお姿に 危うく映画館で叫びそうになりました。
衝撃的でした。だいきほでこんなに甘くて夢夢しいデュエットを聴けるなんて全然予想していなかった。
「ようやくめぐりあえた 大事な人」…
お二人の歌声の重なりを聴いて、ああ私はこのデュエットを待っていたんだと泣きました。
極めつけの“ぎゅ〜ゆらゆら”なんて想定外どころではなく、終演後に絶叫溢れるTwitterを見るまで都合のいい妄想ではと心配だったほど(笑)
このときのライビュで感じた喜びや幸せは、この先もずっと忘れないだろうと思います。

私が踊る時
だいきほファンの夢をたくさん叶えてくれたCパターンのセトリ、ラストがこの曲。
これも前奏を聴いてまさか、と思いつつなかなか脳内で処理できず(笑)
深く豊かな望海トートの低音。毅然とした真彩シシィ。
特に印象的だったのは「邪魔しないで」の力強さ、「歩いてゆけるわ」で迷いを見せたような一瞬の揺らぎ
ただファンのリクエストに応えて歌ったという次元ではなく、ちゃんと心がかよったトートとシシィがいました。
貴重なコンサートの場なのに、咲ちゃん抜きでドンジュアンのナンバーを披露しなかったのと同様に 真彩ちゃん以外とはデュエットせずエリザの楽曲も歌わなかったのはだいもんの明確な意思の表れだと思うのですが、真彩ちゃんもCDでは「私だけに」を歌ったけどミュサロでは披露しなかったんですよね。
お互いのためだけに捧げられた望海トートと真彩シシィ。奇跡のような伝説的な時間でした。


デュエットではなくトリオですが、もちろんこれについて書かないわけにはいきません。
星組時代のかわいい妹ちゃんたち、小桜ほのかちゃん&天彩峰里ちゃんとの夢のコラボ。
同じ組で歌を通して関わる機会が多かっただけでなく、1期ずつ離れていて本当に姉妹のようなお三方。
エトワールや轟さんの相手役や組替えなど、真彩ちゃんとの共通点も多いほのかちゃん峰里ちゃんは 真彩ちゃんが雪組に行った後も相談に乗ってもらっていたのではないかなと想像します。
さて、肝心の歌の感想。
大きく抑揚をつけるというよりも語るように歌っているのが何より印象的です。
娘役としては珍しいぐらいの低音域から始まること、ポップスであることが雪の華と共通していますが、聴き比べてみると表現に断然深みが増しているのを感じます。
ほのかちゃん峰里ちゃんも真彩ちゃんと同じでどの音域も柔らかい声で歌える方々なので、パートごとにメロディーラインが違うのに全体のハーモニーに統一感があってとても心地良い。
耳福とはまさにこのこと!ヒーリング効果が凄いです。

全て、この世は物語
シルクロード千夜一夜でのデュエット。
「というお話」という歌い始めのフレーズが魔法のように美しくて、これはあーさシャフリヤールがころっと眠りについてしまうのも納得…
一緒に歌うパートは短いですが、(私の理解では)別の時空にいる二人が夢の中での出会いを確かめるように歌うのがなんともロマンチック。

盗賊と宝石
この曲をだいきほにプレゼントしてくれた菅野よう子さんと生田先生にはどれだけ感謝しても足りない!
真彩ちゃんだけに語りかけるだいもんの歌声に重なる、無垢な少女のような真彩ちゃんの歌声。
「たとえ今は〜」の響きに心を掴まれます。
お二人の歌声の波がどんどん高まっていき、美しい間奏へ。
賛美歌のようなコーラスをも凌駕する勢いの、限界を知らないだいもんの歌声。
「命は巡るよ〜」のユニゾンでもう一度お二人の歌声が完璧に重なった瞬間の恍惚感…
菅野さんのメロディーと生田先生の歌詞を噛みしめて歌声に包まれると、すべてが浄化されていくようです。

私が大劇場お披露目直前の時期にだいきほに出会ってから、あっという間に3年以上が過ぎてご卒業を迎えてしまうことがまだ信じられません。
ミュージカルや歌そのものに対して、これまでもっていた感覚を根底から覆されるような出会いでした。
だいもんと真彩ちゃんに負けないぐらい素敵な歌声をもつ人はたくさんいるでしょうけど、デュエットしたときに別世界を見せてくれるような抜群の相性、どちらかの独りよがりに流れない対等なパワーバランス、それでいてお互いの声を尊重し緻密に物語を歌声にのせていく姿勢…
こんな魔法のようなデュエットを聴かせてくれる二人にはもう出会えないのではないかと思っています。
お二人が花組で出会い、だいもんが真彩ちゃんの歌声を聴き、ブリドリでお互いの憧れの役がエリックとクリスティーヌであることを知り、組替え同期となり、公開収録でHOMEを歌い、雪組で再会して。
偶然もお二人の希望で叶ったことも、すべてが積み重なって今のお二人につながっている奇跡を思うと、感謝しか出てきません。
長い期間特定の相手と組んで舞台をつくり上げる、宝塚のトップコンビという他にはない特別な関係。
その中でお二人が元々もっていた極上の歌声がさらに磨かれ、究極のハーモニーに近付いていくさまをリアルタイムで見届けることができたのはこの上なく幸せなことでした。
正直なところ、たくさんの困難を経て無事にご卒業を迎えられることは祝福できても、お二人が一緒に舞台に立つ姿をもしかしたらもう見られないのかもしれない、という事実は受け入れられそうにありません。
いつか、まただいきほの歌声が重なる奇跡を信じて。
お二人が残してくれたたくさんの音源や映像を大切に聴きなおしながらその時を待ちたいです。

真彩希帆さんのソロをひたすら語る②

以前の記事に続き、壬生義士伝以降に真彩ちゃんが歌った楽曲について書いていきます。

面影/面影(Rep.)
壬生はそれほどナンバーは多くないものの、どれもクオリティーが高いなと思います。
これも、初めて聴いたときから耳に残って好きになった曲。
吉村さんと離れて暮らすおしづさんが寂しげに一人銀橋で歌う姿が切なくて…
お芝居のラスト、吉村さんが絶命する瞬間に「鼻緒が…」と歌声が途切れる演出は、強烈に涙腺にきますよね。
今振り返ると、真彩ちゃんがソロナンバーで魅せる「ppの魔術師」ぶりはこの曲から始まっているような。

鐘(ラ・カンパネラ)
MRでの銀橋ソロ。超絶技巧練習曲という原題がまさしく!という驚愕の歌声ですよね。
先生の予想外に真彩ちゃんが原曲のまま歌えてしまったからアレンジなし、というエピソードがさすがすぎて(笑)
余裕で歌いこなしつつウインクも抜かりなくキメてくる姿に堕ちるしかないし、実は真彩ちゃんの銀橋ソロでこういう系統って他にないので貴重!

Maria Mari
カチャさんと絡む大劇場版も完全ソロの全ツ版も好きです。
が、真彩ちゃんの歌声を堪能するという点にフォーカスするならやはり全ツ版に軍配が上がるかなと。
特に後半のスキャット!なめらかな高音にうっとりです。そこからリップ音にやられるまでがワンパッケージ。
恋はSwing、Diamonds Are A Girl's Best Friend、そしてこの曲と、全ツ限定の真彩ちゃんソロはどれも違ったかわいらしさがあって最高だし、魅せ方わかってるなー!と毎度感服させられました。

クラリーチェの嘆き
きゅるっきゅるな真彩クラリーチェちゃん、歌声も純粋無垢そのものの清らかさ。
「行方"も知"れぬ」で1オクターブの跳躍があるなど、ゆったりした曲とはいえそれほど簡単ではないはずなのに全くそれを感じさせないのが素晴らしいです(今さらいうまでもないのですが)。

ダイヤモンドの歌
2幕冒頭、トップ娘役の歌いつぎで圧倒的だったタカスペ2019のソロ。
私はライビュに行くことができなかったのですが(タカスペは毎年フィギュア全日本選手権と重なるのです…)、終演後の時間帯にTwitterで真彩ちゃんのお名前を検索したらすごいことになっていて 何が起きた!?とびっくりしたことを覚えています(笑)
そして、後に映像で確認して納得。これは雪組ファンでなくても堕ちる…
クリスティーヌのような柔らかい歌声とは全く違う、まさにダイヤモンドのような硬質な響き。こんなに正反対のベクトルなのにどちらも美声なのが本当にすごい。
「広い世界は何もかも私の思うまま」とか最高すぎるし、終始クールな表情でキメてたのに最後にふっと勝者の微笑みを見せてくださるところも!本当に大好き!!

SWANEE~ショー・ビジネスの勝利者
ここからはワンスのナンバー。
ニックに頼まれてバレエ教室のみんなの前で少女デボラちゃんが歌うこの曲、ファントムのビストロ再び!みたいな雰囲気で、真彩ちゃんの圧倒的な歌声だからこそ説得力が増すなと感じます。
最高音もビストロと同じですが、全く構えずに出してますよね~すごい。
周りの女の子たちより少しおすましした感じの大人びたデボラちゃんが 歌っているときは年相応に楽しそうな笑顔になるのが愛おしい。
最後のカデンツァを聴いたヌードルスのうっとりした表情、私たちもきっと同じような顔になっているはずです。

地上の天国
この場面、衣装のインパクトはもちろん大きかったですが歌声もそれに引けを取らず素晴らしかった!
つい同じようなことを何度も書いてしまうのですが(笑)、かなりの高音域を あの表情を保ったままいとも簡単そうに歌ってしまうのが本当にすごい。
「エンジェル♪」ってひーこさんに向かって歌う瞬間がまさに女神の微笑みだし、衣装を持ちながら大階段を降りてくる姿が気高くて拝みたくなるー!
今も公演当時と変わらずなかなか先が見通せない状況の中、「輝く未来信じて」と歌う真彩ちゃんが眩しいです。

阿片幻想
「この場面が影ソロじゃないのは真彩ちゃんだからこそ」という感想をたくさん見て気になっていたのですが、大楽の放送を観て納得でした。これは劇場で観たかった!
連邦銀行襲撃の後、混乱するヌードルスの悪夢ではこうなってしまうのか…と切なくなってしまうデボラの冷たい微笑み。
真彩ちゃんの美声によっていっそう不気味に感じ、ぞくっとさせられます。

皇帝と皇后(リプライズ)
夢と希望に満ちていた明るい1幕から一転、失意の歌詞…
この曲を銀橋ソロとしてきちんと聴かせられることが非凡さを物語っているなと。
なんといっても最後のロングトーン、強弱を抑えてあれだけコントロールできることに脱帽です。初めて聴いたときは え、まだ伸ばす?こんなにいく??と驚かされました。
そして歌い終わり、少女時代と変わらず顔を上げて毅然と歩いていくデボラ。切ないけれど大好きな場面です。

You Raise Me Up
当初の予定よりも大幅に公演日程が遅れ、半年以上ぶりに観客の前で舞台に立った真彩ちゃんが最初に披露した曲。
のぞコンCパターン初日、ライビュで観ていましたが パロディー直後の余韻が残る中、暗転した舞台に現れた真彩ちゃんの神々しさといったらなかったです。
今音源を聴き返すと緊張が伝わってくるけど、そんなものに呑まれない圧倒的なポテンシャルに裏づけられた力強い姿
真彩希帆ここにあり!を思いっきり見せつけられたことが心地よかったです。
歌詞中の"あなた"(だいきほ脳の私はだいもんのことだろうなと思いながら聴いてしまいますが)への思いが強く伝わってくる素晴らしいパフォーマンスで、技術的なポイントに触れることすら野暮だなと思ってしまうのですが一つだけ。
最後のmid2F→hiFの跳躍があまりにもシームレス!すごすぎます。

ランベス・ウォーク
La Voileでの「顎で受けなさい」に続き、楽しそうにミーマイの明るい名曲を歌う真彩ちゃんが見られて幸せでした。
ソロはとっても短いですが、ちゃんとサリーとして歌っているのがよくわかるし「ミー&マイガール」と同じくかなり高音域のソロパートを歌いこなしているのもさすがです。

人類の不幸
fff終盤、謎の女が感情を露わにルイにぶつける曲。
娘役としてはかなり低めのキーからつぶやくように始まり、徐々に力強さが増して絶唱になっていく歌声には観劇のたびに圧倒されました。
発声が地声に近いように聴こえるので(ひかりふるの「革命の犠牲者」を思い出します)、喉のコンディションにも相当気を配って公演に臨んでいたのではないでしょうか。

シルクロード
登場時の真彩ちゃんが歌う、主題歌冒頭のソロパート。
圧倒的な美声、なのに歌詞の冷たさや所々に感じる毒々しさにぞくぞくさせられます。
特に「人の欲望をこの身に浴びて輝く」!
少しドスを効かせたような歌い方で、ホープダイヤの心にある怒りや悲しみや恨みが一瞬滲み出るよう。
同じ人外でも、謎の女ちゃんとは別のアプローチで魅せることができているのが凄い。

夢幻蜃気楼
シルクロード、プロローグ後の銀橋ソロ。
ダイヤモンドにどの角度から光を当てても同じ色で輝くように、様々な表情を見せながらもすべての場面でとにかく美しいのがこのショーの真彩ちゃん。
公演感想でも書いたように、プロローグとはまるで違う声色での歌唱がとても魅力的です。

LONE DIGGER
もう凄い、の一言で終わらせてしまいたいぐらいですが。
普段一音ずつ歌詞をあてて楽譜通りに 変なアレンジを入れず歌う真彩ちゃんが、本来のリズムから少しずらして粘るような(伝わるでしょうか…)歌い方をするのが新鮮。
でもそれが曲調や歌詞に合っていて素敵。
この曲は滑舌よく肺活量も十分で、リズム感に優れ、かつ広い音域を自在に行き来できる人でないと歌いこなせないはずです。
オリジナルとも違う、真彩ちゃんだからこそのチャーミングさや色気が加わった至高の1曲ですね👏
もちろん他の組子の皆さんの素晴らしいダンスもあってのことなのですが、作中でも一際大きな拍手が送られる場面で嬉しかった!

争いの系譜
盗賊と宝石の場面で、人々の争いへの絶望を歌うソロ。
特に凄いのが「呪われてるのはあなたたちだと〜」以降。
もっと楽に歌おうと思えば歌い方を工夫できたと思いますが、搾り出すように歌う真彩ちゃんにファントム大楽のMy True Loveを思い出しました。
あれも正しく絶唱でしたよね。

こうして振り返ってみると、真彩ちゃんが歌ってきた楽曲の幅広さを実感します。
ジャンルも音域も曲調も。
「歌が上手い」の遥か上をいく次元で毎回新しい驚きと感動をくれた私の音楽の天使。
タカラジェンヌとしての最後の公演でも、どこまでも高みを目指して私たちを夢の世界に連れて行ってくれると確信しています。
そして願わくば、今後も彼女の天使の歌声を耳にする機会がありますように。

雪組「シルクロード」感想

私たちの同志では?とおこがましくも思ってし まうほど、だいきほへの熱く深い愛の片鱗をお見せになってきた生田先生。
先生が初めて手がけたショー、しかもお二人のサヨナラ公演、簡単な感想で終わらせられるような作品のはずがありません。
というわけで、fffに続き少々長くなりますがよろしければお付き合いください。

盗賊が宝石(ホープダイヤモンド)を追うという一貫した筋をもとにいろいろと想像(妄想)を膨らませることができるのが楽しいので、お芝居同様に考察も交えながら感想を書いていこうと思います。

第1章
退団者を中心としたキャラバン隊のリーダーとして幕開きのソロを歌う凪様
赤い髪にターバン姿が目に痛いほどかっこいい…
娘役さんたちが扮する砂も一人一人美しく、どこを見ればいいのか迷ってしまうほど。
凪様の歌声を覆うように真彩ちゃんの影ソロが入りますが(初っ端からなんと豪華な!)、地底から響く呪詛のように聞こえる声。
最後まで新境地を見せてくれるな、と感服です。

そして盗賊の首領・望海風斗さまご登場。
…いや~ビジュアルが満点を超えていらっしゃる。
まずそもそもお顔が天才(fffの感想で書きそびれたんですが、ルイの鬘をつけてちゃんと画になるって凄すぎますよね)。
ターバンが似合う。黒が似合う。少し眉根を寄せた表情が色気の塊。
この時点でこのモチーフを持ってきた生田先生の圧勝。
そのうえ口を開けば極上の歌声…拝むしかありません。

咲ちゃんが凪様から奪ったダイヤをだいもんに渡すと、ブランコに乗った真彩さまのご登場。
だいもんの主題歌ソロの前に真彩ちゃんのソロパートも聴けるって本当に嬉しい構成です、先生ありがとう!
場の演出もさることながら、お衣装がとにかくゴージャス。
長い裾を引きずりながら凪様のエスコートで階段を降りていくのがなんともロマンチックでときめきます。
ハケるタイミングでさっと裾をまとめて肩に(しっかりハムサの手が見えるように!)かけてくれる凪様→スムーズに持ってすぐに振り付けに入る真彩ちゃんの連携がお見事。
だいもんの近くに寄るときは裾を蹴り上げてうまく捌いているのがかっこいい!
自分で裾を拾い持ち上げるときもハムサの手が見える形になっていて、熟練の技を感じます。
ムラ楽はこのお衣装の処理が少しうまくいかない日だったのかなと中継を見ていて感じたのですが、私が東京で複数回観劇できた中では一度もそのようなことはなく、よどみない流れでした。
あとは、踊る真彩ちゃんの指の動きが艶やかで美しくて、歌詞にある「誘うような指先」を体現しているのがとても好きです。

主題歌の歌い継ぎ、最後に銀橋の両サイドから登場するだいきほのラスボス感がすごくて!(笑)
突き抜ける圧倒的な歌声、さすがとしか言いようがありません。
真彩ちゃんのソロパートがちゃんとあるうえに、キーを上げず男役さんと同じ音程で歌うのも素晴らしい。いちいち生田先生に感謝が止まらない…
シルクロード 涯なき夢よ」という歌詞も好き。真彩ちゃんが作詞したMy Everlasting Dreamとリンクしているようで、胸熱です。

第2章
キャラバン隊を従えた真彩ちゃんの銀橋ソロ
人間たちを寄せ付けないような冷たさすら感じた冒頭とは違って、コケティッシュな表情と歌声に翻弄される…
キャラバン隊の皆さんがそばにまとわりつくようにしているのがかわいい。
エスコートしようとしてくれる凪様が差し出す手にいたずらっぽく指先だけのせて離す真彩ちゃん。
まれに凪様にすかさずぐっと手を掴まれ、素でときめいてしまうというパターンがあったそうなのですが、残念ながら私は一度も遭遇できませんでした😭
ハケる際の高笑い、謎の女ちゃんに続きあなたもか!という感じですが(笑)、ホープダイヤちゃんは艶やかな誘惑の笑い声で、全く響きが違うのがすごいです。

そしてありすちゃんのソロ!
彼女が大劇場でこれだけ長いソロを歌うのは初めてだと思うので それだけで嬉しいのに、真彩ちゃんが歌った後そのままつながっていくなんて完璧すぎる流れ。
先生はだいきほファンのみならず、真彩・有栖の子弟コンビ(と勝手に私は思っています)推しの願望まで汲み取れるのでしょうか?すごい。
肝心の歌も素晴らしい出来で。
私は彼女のソロを聴くのははばレボぶり(!)だったのですが、とても大きな進歩を感じました。こんな上から目線の表現になってしまうのが申し訳ないくらい。
はばレボの感想記事でも書きましたが、当時はファルセットで歌う高音(hihiAあたり。ファントムのビストロでのソロもこれぐらいのとても高い音でした)の安定感と美しさに比べると中~低音域はやや弱いのかな、という印象でした。
それが一変!ここのソロでは最後のロングトーンが特に印象に残っていて、クレッシェンドしていったり逆にディクレッシェンドで繊細に切ったり、歌い終わりまで丁寧に処理しているのがよくわかりました。

ありすちゃんや砂たちがハケると、亡国の青年咲ちゃんがせり上がり。
幕の後ろに透けて見えるひらめちゃんのシルエット。
さききわの柔らかくて温かな空気、多幸感がすごいです。 「僕の元に来てほしい」は反則!!
やっぱりお似合いでしっくりくる組み合わせだなあとしみじみ。
壮大で綺麗な曲もいい仕事してますよね。
見ていて心が潤うような素敵な場面です。
さききわ率いる雪組にもとびっきりの幸あれ!

第3章
来ましたバザール。
スリだいもんの髪型、すごくドンジュアンっぽくないですか…?
新公主演コンビの諏訪くん彩海くんと共に(この3人の組み合わせで一場面作ったのも天才です先生🙏)、振り付けや歌詞がやたらとかわいいスリさんたち。
ドンジュアンみのあるビジュアルにかわいらしさや茶目っ気のある表情が加わったら、それはもう最強無敵の色男が出来上がるわけです…
コミカルな演出のはずなのに色気がメーター振り切ってしまっていて、どんな顔して観ればいいのか🤦‍♀️
望海風斗さんの!存在が罪です!!!
そもそも登場時にフードを被ってるところから色っぽすぎます。
お顔は隠れてるはずなのにだだ漏れてしまってます。

スリさんがミステリアスなキャラバン隊の隊長(しかし話しかけると関西弁でノリよく返してくださる)に捕らえられると、舞台は千夜一夜物語の世界へ。

美貌が冷徹に輝くあーさのシャフリヤール王!大勝利。
ほんとに生田先生“わかって”いらっしゃる。
素敵なのはお顔だけでなく歌声も。
吐き捨てるような「踊れ」とか「命の果てる“まで”」のアラビアンなトリル(伝われ)とか、お芝居でのまっすぐな歌い方と違ってアクセントを入れるショーの歌い方も、ますます進化してますね。

その後ろから現れる真彩シェヘラザード
ホープダイヤカラーのブルーが一際鮮やかなお衣装、びっくりするほど華奢な腰!!
ほんっっっとうに細い。そして、ものすごく美しい。
トップ娘役としての責任感のもと鍛錬を続けた真彩ちゃんが到達した最終形態と思うと尊くて眩しくて…

王のため舞い踊る奴隷たちの中に連れてこられただいもん(黄金の奴隷)。
自分で観ただけではここからの流れに理解が追い付かず混乱してしまったのですが、ステージサイドウォッチで先生の解説を聞いてやっとストーリーが見えました。

スリ(黄金の奴隷)は盗賊の首領自身の前世とか前前世とかの姿で、彼と魂を同じくする存在。
シェヘラザードは、プロローグで首領が出会ったホープダイヤの魂を宿す。
この宮殿の場面の前半(S8)は、ホープダイヤが異なる時空で自分を所有したスリとシェヘラザードに見せた夢
と私は解釈しています(死後の魂が次の世へ巡っていく輪廻転生の考え方が元々好きなので、自分の中では違和感ない設定です笑)。
だいもんが舞台に出たタイミングで歪んだような音響に変わるのですが、これが時空の歪みを表現しているのだと思います。

違う時空にいるはずの二人が夢の中で出会う。
一目ぼれのように惹かれ合う王道ロマンチックなストーリーをだいきほで見られて嬉しい…
だいもんが先ほど書いた通りのビジュアルなので、ドンジュアンに出演していなかった真彩ちゃんが彼と出会えたような感覚になるのも嬉しい。

真彩ちゃんを見つけた途端に他のものはもう目に入らない!みたいな表情になってるのとか。
手錠を真彩ちゃんの首にかけて引き寄せようとする振付とか!桜木先生天才です!!
でも二人は引き離され、あーさがだいもんに剣を振り落そうとしたところで暗転。
舞台には三人だけ。
このシェヘラザードは本来の千夜一夜物語の中の存在で、かつて見た不思議な夢を王に語り聞かせる。
二人とは別の時空にいる奴隷にも、同じ記憶が残っている…

第4章
中詰め。
あやなちゃんと縣くんのソロ、かなり音とりづらそうで難しいよね…と見ていましたが、回を追うごとに良くなっていっているのが明らかに伝わってきました。
当たり前のことかもしれないけど大切な進歩ですよね。
選抜のロケットメンバーにも短いですが歌パートがあるのが嬉しい。

そして神々の饗宴サイケデリックというプログラムの解説通り、それぞれに色鮮やかな衣装をまとった皆さんが居並ぶのは壮観。
否応なしにテンションが上がります。
それにここの真彩ちゃんがとにかくほんっとうにキラキラしていてかわいいのですよ!!
BDのスターアングルに入れてほしいぐらい、太陽みたいな眩しい笑顔からウインクまで、くるくる変わる表情に目が離せない。
毎回ひたすら真彩ちゃんをオペラで追っていました。

両手を合わせてナマステしながら(そもそもこのポーズが頭抱えるかわいさ)階段を降りてだいもんの後ろに一列に並ぶところで咲ちゃん、一旦舞台後方に下がるときにみちるちゃんひらめちゃんあやなちゃんetc...と、すべてのタイミングを拾って組子とアイコンタクトとってにこーっと笑う姿が本当に天使(設定はラクシュミー神だけど)。
と思いきや、男役さんたちが掛け声入れてるとき、自分たちの番に備える真彩ちゃんが娘役勢を「いくわよ!」みたいに手で煽っている姿は最高に爆イケ。
と思いきや、久々に聞けた真彩ちゃんの「あーーいっ!🌟」は最高にかわいい。
銀橋ソロに向かう前にはロケットメンバーとのアイコンタクトもばっちり。
このギャップで我々を堕としてくるわけです…恐ろしい子だわ本当に。

銀橋ソロの歌声は当然絶品ですし、ウインクやら客席をハグやら投げキッスやら、ファンサービスまで毎回完璧(東京公演初日とスカステ貸切、2回もタカニュで映像を流してくださって嬉しかった!永久保存版です)。
真彩ちゃん大好き!!!かわいい!!!イケメン!!!天才!!!しか考えられなくなりますね、この中詰めは。

一度皆さんがハケたところにラーヴァナ咲ちゃんが登場。
ひーこさんとカリさまが組んで踊っている姿がかっこよくて美しくて、でも咲ちゃんの表情も見たくて、なかなかオペラを覗けない時間です(笑)
そしてヴィシュヌだいもんとダンスバトル(羽根対決)。バトルといいつつ、お二人ともものすごく楽しそう。
宝塚の男役にしかできない、しかもトップさんと二番手さんだけの場面。
今しか見られない貴重なお姿だ、とだいもんを目に焼きつけるように追っていました。

再び組子が勢揃いで華やかに主題歌へ。
下手花道から銀橋に進むラクシュミー真彩ちゃん、はじめはだいもんのエスコートを受けるのに、センターに着いた後差し出された手はいたずらっぽくスルーするんですよね(第2章での凪様と同じパターン)。素の真彩ちゃんは手のせたくてしかたないんだろうな~(笑)
でもどちらもすごく幸せそうな笑顔でかわいいです!

第5章
チャイナな咲ちゃんと紅幇・青幇の男役さんたち。
この場面、咲ちゃんがクールに歌っている印象だったのにすごくワイルドで雄みある歌い方をする回に何度か遭遇しまして。
急にドキッとさせられて心臓に悪いけど、最高ですこのギャップ…となりました。
後ろで踊る男役さんたちも最高に色っぽくてかっこいい。ハットを使った振付、ずるいですよね。
上級生と若手ホープが入り混じったメンバーなので、それぞれに違った魅せ方を楽しませてもらえるのもイイ。

からの、大世界。
初日が明けて 真彩ちゃんがラップを披露する、曲はCaravan PalaceのLone Diggerだ、という情報を得てから聴きまくっていたので、初めて観たときはイントロ鳴った瞬間にキター‼︎状態(笑)
でも実際に真彩ちゃんが歌い始めるとそれを更に上回る興奮が待っていました。
劉衛強さまをはじめとする爆イケ男役勢、美しくセクシーな娘役勢。もはや「目が足りない」が代名詞となったこの場面ですが、それでも私は言いたい!
真彩さまアングル最高です!!!!
「ねえ、どこ見てるの?」で真彩さまにオペラを向けたら最後、もう目を離せなくなります。
今、指チッチッ☝️ってした!?え、なんですかその凪様に負けない腰グイ!?台の下にいる男役さん(他の方のレポによるとカリさまだったようです)指クイで誘った!?と一挙手一投足に翻弄され。
極めつけに例のアレですよ。右手ではおりんのお腹や腰を撫でまわしながら、左手でありすちゃんと恋人つなぎ
男たちだけじゃない。この後輩歌姫の二人も完全に真彩さまの手に堕ちてる(確信)
真彩さまご自身がすみれコードぶっちぎりそうな勢いなので、身も蓋もない言葉を選ばせてもらいますと。
初めて見たときはやってるのか微妙なくらい指先だけなのが逆にいやらしいと思っていたのですが、いつからか動きが大胆になってもはや直視するのがためらわれるほど(ほめてる)。
しかも何がえろいって、この瞬間真彩さまは後ろを向いてるんですよね…
ねえ、どこ見てるの?ってこっちが聞きたい。どんなお顔で二人に触れていらっしゃるんですか…?

鬘がボブになる貸切公演では、また違った印象を受けました。
通常ver.が百戦錬磨なプロフェッショナルとすれば、貸切ver.は凝ったヘアアレンジではなくシンプルに下ろしたスタイルだからか、素人感が残る女の子が意図せずクラブに集う男女を虜にしてしまっているような背徳感が。
つまり、どちらもそれぞれに色気が爆発しているのです…

何より、真彩さまの歌声が制圧する空間で他の方々がただ踊る、という構成が素晴らしい。
どうして今までこのパターンなかったんでしょうね?
真彩さまの歌声とリズムを感じながら楽しそうな余裕漂う笑みで踊る劉衛強さま、世界一かっこいい…
(1回だけこの場面で望海アングルに挑戦してみたのですが、あまりの色気とかっこよさに細部は全く記憶にありません。BDで改めて拝みます🙏)

そしてだいきほ咲のタンゴ
これこそスベテガカンペキデス、しかない。
この中の誰かが歌うのではなく三人ともひたすら踊る、こういうのが見たかった!
しかもお互いに奪い合う構図で。
対峙するのぞ咲を押しやって間に入る真彩さま、ダイナミックにスカートを捌きなびかせる真彩さま、だいもんの腰あたりと咲ちゃんの腕に手をやる真彩さま(この瞬間を舞台写真にしたのも天才)…
途中で一度音楽が途切れてからテンポアップして再び踊り始めるところ、センターにいる真彩さまが爆イケすぎて。男役さんばりのかけ声をかけたとしても全く違和感ないと思います。

第6章
タンゴの余韻を銃声が切り裂いて始まる盗賊と宝石の場面。
争いをやめない人々の中で苦悩し絶唱するホープダイヤ。
「何も見たくない」と歌いながら目隠しを外す演出についてよくわからないという感想も目にしましたが、
人々の声や銃声から、終わらない争いを感じとる
→もうこんな世界は見たくない、と思いながらもわずかな希望に賭けて一度目隠しを外す
→目に飛び込んできたのはやはり憎しみ合い、奪い合う”呪われ”た人々の姿
→もはやこれまで、という思いで叫び、人々を滅ぼす
ということなのではないかなと思っています。

皆の死によって争いも途絶えたものの、ホープダイヤが残されたのは何も見えない孤独な暗闇の世界。
そこに盗賊が現れ、時を超える中で幾度も巡り会ってきた彼の声が彼女に届く。
恐れずに瞳を開いて、と呼びかける歌詞。なかなか自分に自信がもてなかった真彩ちゃんにそのままで大丈夫だよ、と優しく呼びかけて包みこんでくれただいもん というお二人の関係が重なります。
fffの二人も同じように終着するのは偶然なのか、素顔のだいきほを見ていて両先生が感じとったものが同じだったということなのか。

菅野よう子さんが作曲したこの美しい楽曲は、ありがたいことにスタジオ収録版も音楽配信されました。
初めて観劇したとき、「想像の翼を〜」以降が特に収録版と違うニュアンスで聞こえたことを覚えています。
収録版は聴き手に希望を届けるような、劇場での歌声は二人が一緒に未知の輝きに気づいていくような。
劇場ではセリフと歌詞の中間っぽく歌っている部分もあって、そういうミュージカルナンバー的な二人の歌声を聴ける点でも、このショー全体をストーリー仕立てにした生田先生の構成が功を奏しているのではと感じます。

何と言っても「君の最後を俺が奪おう 誰にも渡さない」ですよ!
もちろん(?)サヨナラショーの演出まで勝ちとった生田先生からだいもんへの思いでもあるのでしょうけど、こんな歌詞をだいもんが真彩ちゃんのために歌ってくれるなんて…!と感無量です。
しかも、真彩ちゃんの華奢な肩が折れてしまうんじゃないかと思うほど激しく掻き抱いてファルセットで歌う切実な響き…
真彩ちゃんが5組を渡って最後にだいもんの元にたどり着いた奇跡のようなご縁に感謝です。

間奏での二人のキス。
プロローグや千夜一夜で寸止めっぽい場面があるので 二人が時を超えてついに結ばれたという伏線回収だとは思うのですが、別になくても正直違和感ないのに敢えて入れてくれた先生、ありがとうございます。
fffではできなかった分、なおさら多幸感がすごい。
そもそも盗賊と宝石という曲名からして、歌詞や場面の内容から考えればそれこそ「闇と再生」とかでも良さそうなところ。
誰がなんと言おうとだいきほが主役!という生田先生の確固たる意思を感じるので本当に感謝です🙏

第7章
ついにフィナーレ。
「旅は続くキャラバンは征く」、頭からつま先までかっこよくて美しい まさに集大成、な凪様に目を奪われてしまいますが、本舞台を見てみるとキャラバン隊員のありすちゃんがセンターにいるんですよね。
ツアーガイドさんみたいな旗を振る姿がとにかくかわいいし、両サイドのにわさん・真地くんとの絡みは世界平和。
そしてここでもホープダイヤ真彩ちゃんの影ソロが。
自分をただ所有するのではなく共に歩んでくれるパートナーと巡り会い 旅を終えようとしている彼女の声は、プロローグとはまるで違って キャラバンを静かに見守り導いているよう。

スポットの光が降り注ぐ中に青いバラを抱いて現れるだいもんのなんと美しく神々しいこと…
ここからの一連に関しては言葉で言い表せることなんてほとんどありません。
娘役さんたち一人ひとりと視線を合わせてそれぞれに思いを届けるように踊る姿。
男役さんたちを率いて誇り高く気高く、時に艶やかに踊る姿。
ひたすらに男役・望海風斗さんに出会えて本当に良かった、ありがとうございますという思い。

銀橋に立つ真彩ちゃんの張り詰めた美しさ。
だいきほ時代の雪組を最初から共につくってきたあーさ、凪様、咲ちゃんと柔らかい笑顔で組んで踊り、大階段で待つだいもんの元へ。
きっと今この世で一番美しくて尊いこの時間・空間が永遠に続けばいいのにと願うけど、それが不可能なこともわかっているからこそ時には昔の話をという選曲に込められた先生の思いをただ噛みしめます。

パレード。
大劇場では初のエトワールに抜擢されたありすちゃんがとにかく素晴らしいです。
真彩ちゃんのサヨナラ公演のエトが彼女で本当に嬉しい!
一つ気になるのが、他の方々(真彩ちゃん含む)がアースカラーのお衣装なのにありすちゃんはホープダイヤとリンクするようにブルーのドレスを着ていること。
これはなんらかの意図があってのことなのか、先生のお考えが知りたい!

パレードでの個人的な必見ポイントは、列に入ってだいもんを迎えるまでの一瞬にあーさとアイコンタクトする真彩ちゃん
歯を見せて思いっきり笑顔になるのがとってもかわいくて幸せが溢れます。
もう一つ、大階段から降りてくるだいもんが必ず真彩ちゃんがいる方を先に見下ろすというのはお馴染み(特に今回は「”君”の最後を」と歌いながら見ているのが最高)ですが、降りてきてからの「誰にも渡さない」もギリギリまで真彩ちゃんがいる下手側を見ながら歌っているんですよね😭

最初から最後まで、だいきほファンの願望をすべて叶えてくれるような構成・演出のショー。
個人的にはお衣装も通し役の設定も好みどストライクで、ただただ楽しくて幸せな作品です。リアルに体感15分くらい。
サヨナラ公演でも守りに入らず見たことのないお二人を引き出してくれた先生と、それに応え私たちの予想と期待をはるかに超えるクオリティーで魅せてくれただいきほに万歳!
無事に大楽を迎えられることを心から祈ります。

雪組「fff」感想

観る人によってかなり感想が分かれると思いますが 私自身は元からウエクミ先生の作品が好みということも関係しているのか、観るのがとても楽しい作品です。
何が楽しいのかというと、多くのことを考えさせられ 観るたびに初めての気づきを与えられる…そんな奥深くて簡単には咀嚼しきれないお芝居だという点。
他の方のツイートやブログを読んでいても自分が思いつかなかった意見に触れることが多く、それだけ余白が残された作品なのだと感じます。
受け取り方に正解がないのを前提としたうえで、メインキャスト中心の感想とあわせて 脚本・演出・曲など、私なりにfffをできる限り隅から隅まで考察してたどり着いた解釈を記録していきます。
あくまでも作品で描かれている内容についての考察・感想であり、史実ではどうだったかなど 登場しなかった人・こと・ものはあまり考慮していないこと、当然ネタバレを含むことをご了承ください。

第1場
相関図を見たときは天上界…?と訳が分からなかったのですが(笑)、なるほどこういう役割なのか、と。
狂言回しなら音楽家三人衆だけでもよさそうですが、天使たちも登場するのは ラストで出演者全員がそれぞれの役として一緒に舞台に立つために、天上界へ導く役として必要ということですね。
今回も真彩ちゃんが出ていない場面はありすちゃんに注目していたのですが、ケルビムのお姿がまさに天使!
セリフがないところでも細かくお芝居をしていて、三人衆がケルブとやり合っているときに「口答えしないで!💦」みたいに制止しているのがかわいかった~。

第2場
このプロローグがとにかく好きです!!!
まず、「タッタッタタッタタッ!」にここまで中毒性をもたせられる人が他にいるでしょうか?───否!と言いたくなる強烈なルイの登場。
英雄三人衆直筆のサインが浮かびあがってだいもん咲ちゃん凪様が並び立つ…というこの流れがあまりにも最高で三人の布陣が最強で、何度見ても胸が高鳴ります。

そして、ここに入ってくる謎の女真彩ちゃんの高笑いと影ソロ
高圧的な哄笑がたまらないし、東京公演では大音量の伴奏に負けじと歌声がさらにパワーアップしていて圧がすごい。
公演で最初に真彩ちゃんの歌声を聴くのが影ソロということになるので、そもそも天使の歌声であることと相まってよけいに天から降り注いでくるような印象。
クラシカルな、しかも器楽曲の旋律をファルセットであれだけパワフルに歌えることに驚かされます。

この場面、一つ引っかかるのが ゲーテに彼女の声が聴こえているような脚本になっていること。
いろいろ考えたのですが、このゲーテのセリフは 本編が始まる前の導入として英雄三人衆と同じように彼女を観客に紹介する便宜的なものにすぎないという結論で私は落ち着きました。

楽家三人衆が雲をルイの耳に詰める演出について、失聴の前兆を表現しているとの考察を多く見かけました。
"うるさい音楽"を指揮する張本人が耳栓をするのは理にかなっていないし、あえて先生がこの演出をつけたということはそういう意図なのかなと私も思います。
でも、だとするとこの作品においてルイの失聴は 神や貴族ではなく人間の時代を目指す彼に天が与えた罰、というような見方をせざるを得ませんよね。
正直なところそれについては納得がいかないので、くすぐったがるだいもんと頑張って雲を詰める三人衆をかわいいね☺️と眺めるに徹しています。

そしてこの場面ラスト、ルイが演奏を終えたタイミングでオケピに現れ、ノックの音(コンコンコンコン!)に合わせてタクトを振る、というところで初めて謎の女が登場。
ルイと同時にお辞儀をする彼女の表情が狂おしいほど好きです…

第3場
前述のノックの音で舞台がルイの楽屋に切り替わり、本編に入っていく演出が鮮やか。
皇帝一家とメッテルニヒ、そしてサリエリ
全編通してルイと対照的な立場として描かれる(あやなちゃん演じるルドルフ大公は少し異なりますが)貴族側のメンバーがここで一気に登場します。
特筆すべきはやはり 安心と信頼の久城あすさん演じるサリエリで、宮廷で雇われる立場の人間として当たり障りなく立ち回る軽妙なセリフ回しがさすが。
先生の演出かご本人の役づくりかわかりませんが、全体通してそこまで目立つ出番は多くないのに強く印象に残るのが素晴らしいなと思います。
そして彼らに対するルイの不遜な態度がまた!最高です、癖になります。
私が特に好きなのは皇帝への「どうぞ、お気になさらず」の言い方ですね(笑)

メッテルニヒとのやり取りからさらに場面が転換してナポレオン戦争へ。
不利な戦況でもひるまず兵士たちを鼓舞するナポレオン、なんて理想的な上官でしょう。これぞまさに英雄!
…なのですが、これがルイの想像の中にすぎないのか現実なのかという点でかなり悩みました。
この後の場面もあわせて考える必要があるので、詳しくは後述します。

再び舞台は劇場へ。ここでルイがジュリエッタに求婚するわけですが…
ジュリエッタについては私、数回観ても人物造形が腑に落ちなかったんです。
言い換えれば、彼女の本心にルイへの愛があったのかどうかが読みとれずモヤモヤしていました。
もし本当に愛していたなら、婚約を告げず、しかも彼に誘われた劇場にいきなり婚約者と現れるのはあまりにも不誠実(最後に自分の口から別れを告げたことだけは多少マシですが)。
求婚をやんわり拒絶したのに彼が受け入れなかった(実際は返事が聞こえなかったのだけど、彼女はそれを知らない)から嫌悪感や恐怖を抱き、伯爵や母親の前で関係を断とうとしたとか?…それもピンとこない。
なんて延々と考えを巡らせていました。
「素晴らしかったわ、息が止まるほど」というセリフもモヤモヤを生む要因で。
その前に皇后が「あんまり大きな音で心臓にわるいほど」と言っていることもあり、"あなたの皇族への態度で寿命が縮んだわ"っていう皮肉?とか勘ぐっていたんです(ひねくれすぎだなと自分でも思いますが)

自分の中で納得がいく答えが出せたのが、東京公演中盤。
だいもんアングルで観たいのを我慢してジュリエッタの表情もチラ見していたら、ルイが皇帝一家に不遜な態度をとり始めた時点で「なんて人なの!?」と思ったように見えました。
「素晴らしかったわ」は本音ととれる表情だったので、ジュリエッタ寄りに解釈するなら 純粋に曲が好きでお近づきになった彼女に彼が夢中になったため、断りきれず恋人的な関係になってしまっただけで、彼女はルイとの結婚など端から頭になかった説かなと。
だとしても、自分からけじめをつけてお別れしようとしなかった時点で誠意と敬意がなさすぎるので、好感はもてませんが。

第4場
劇中劇のウェルテル。
まさに月光のようなスポットに照らされて銀橋を渡る凪様がとにかく美しくて…美形でいらっしゃるのは前々から知っているのに、今回は特にわけがわからないぐらいのお美しさでとにかく圧倒されます。
退団者だからこその輝きなのでしょうか😭
佇まいだけで ルイやナポレオンが敬意を払い、賛辞をつらねるほどの知性と人柄、同じく英雄と呼ばれても二人とは全く違う達観したような落ち着きを体現しているのが素晴らしい。
カフェブレでもおっしゃっていたように 一度聞いただけでは容易に理解できないほど難しいセリフが多い役ですが、凪様は自分の言葉として発しているからいっそうゲーテとしての説得力が増しているように感じます。
男役を極めるとはこういうことか、と思い知らされるような存在感とお芝居に脱帽ですし、この役を演じる凪様が見られてよかった、と毎回幸せを感じます。

ここでついに謎の女が本舞台に登場。
ピアノに座った状態(しかもあの姿勢!)で現れる演出に痺れます。
スカレポでお話があったように、かなり幅のある音域を歌っているのに全く身動ぎしないし(レコーディングで手・腕を大きく使って音のイメージを体現しながら歌う真彩ちゃんを見ているだけに、この状態に慣れるのは相当大変だったのではと思います)、ずーっとオペラで見ていてもはっきりとはわからないぐらい口の開け方も最小限
そのうえあの声量!まさにppp
「針の穴に糸を通すよう」というご本人談もむべなるかな、ものすごく繊細に神経を張り詰めてコントロールしないとできないはず。
しかも、これもスカレポでおっしゃっていましたがあえて微妙な音程を狙っているんですよね。
この技術も公演を重ねるごとに進化しているようで、聴き慣れない違和感のある音にはっとさせられます。
ウェルテルがロッテにピストルを請い、謎の女が黒炎を介して渡すところで音階の上昇とともに急激にクレッシェンドをかけるのがこれまた圧巻。

そして、彼女の表情。
初めて観たときは全編通して 望海ルイ以外の人たちが何をしても無という印象だったのが、東京公演に入ってから (おそらくルイの姿を重ねて見ている)ウェルテルやこの後登場する少年ルイを慈しむような哀れむような、寂しげな顔で見ているように感じられて強く印象に残りました。

劇中劇が終わるとルイとヴェーゲラー夫妻が登場し、ジュリエッタの婚約が明らかに。
一度彼女が前を通り過ぎて行ってしまったとき、怒るというより状況を受け止めきれない様子だったルイが 戻ってきた彼女を見て一瞬ほっとしたような笑顔を見せるのが切ない…こんなに感受性豊かで純真な人になんて酷い仕打ちを😢
ガレンベルク伯爵がルイなど見えていない、相手にするに値しないというような態度なのも心が痛いですね…
この作品では出てきませんが史実では彼も作曲家なので、貴族とは釣り合わない身分ながらその才能でもてはやされるルイが最初から気に食わなかったのかも、などと想像しながら観ていました。
演じる真地くんはいつも明るい笑顔が素敵な方。この作品で退団する彼女にご本人とは正反対のような役柄をあてて普段見られない一面を引き出したのも、先生の愛なのかなと感じます。

ジュリエッタが去ってしまったことに加え、声が聞こえなかったことに混乱するばかりのルイの前にオケピから現れる謎の女。
「助けて!」とロールヘンの手をとるルイに対して高笑いするのは、彼が自分から苦い記憶を蘇らせるような行動に出てしまったことを嗤っているのでしょうか。

第5場
回想へ。少年ルイと父ヨハンのやり取りが観劇のたびに凄絶さを増している気がします…
この頃の彼にはまだ人間の平等や自由などの概念はなかったのではと思うのですが、宮廷で媚びへつらう父への反発が貴族への嫌悪を生み、あんなことを選帝侯に対して言わせたのでは。

家から閉め出されて凍える少年ルイに「寒いわね、凍りつくように」と対峙する謎の女。
真彩ちゃんがウエクミ先生に言われたという「強くて厳しいものは美しい」という言葉、この場面が特に体現しているように感じました。
同時に彼女の異質さも際立つ場面。
この回想シーンから物語が大きく動いていく本作では、幼少期と青年期、成年期を別のキャストが演じることは演出上必須です。
それによってより多くの生徒さんに役を振ることができるのに加え、成長したルイ(とロールヘン)に対しずっと同じ姿でいる謎の女が人ならざるものだと明確にわかるようになっているのが効果的だなと。

そして、黒炎がルイにピストルを渡し 彼は少年時代の自分自身にそれを向ける
ゲルハルトとロールヘンが現れてからも かなり長い時間ルイがピストルを下ろさずにいると気づいたとき、ショックを受けました。
このとき彼が背負っていた不幸や絶望は、大人になってから思い出しても死を考えさせるほど重いものだったのかと…

舞台はブロイニング邸に。
ロールヘンたちにピアノを教える少年ルイは家での練習や貴族のための演奏会のときとは打って変わった心から楽しそうな笑顔。
そこに父親が現れて一気に表情が曇るのが切ないのですが、私はここからの「救済の記憶」の流れが作中でも屈指といっていいぐらい好きです。
ゆめくん演じる執事の「くらがりを照らすちっさな炎は、この中に」というセリフ。とても短い一言、でもルイの心に後々まで強く残った言葉だと思います。
その後セリの上に登場する小さな炎の美しさ、神々しさ…
さらにダメ押しのように登場する青年ルイとゲルハルト。
「小さな炎」の歌詞の輝かしさ、野心と希望に燃える若き二人があまりにもキラキラ眩しくて…本当に美しい場面です。
毎回書いていますが、あーさの歌声がますます進化していますよね。
フィギュアスケートのGOE(テクニカルエレメンツに対する出来栄え点。-5~+5で評価)で例えるなら、だいきほのデフォルトが+4~5とすればあーさは現時点で安定して+3以上の歌声を聴かせてくれるなという印象です。
この作品では強烈なインパクトを残すような役ではありませんが、これまで多くの作品でだいもんを近くで見つめてきたことが生きていると感じました。
ゲルハルトの温かい眼差しや笑顔は、ルイにとって大切な小さな炎だったのではないでしょうか。

青年ルイと入れ替わりにルイが再び現れ、回想から元の時間軸へ。ナポレオンの戴冠式
「バカね」と吐き捨てて両手を悠然と広げ、舞台奥へ歩いていく謎の女の後ろ姿にひれ伏したくなります。つよい。
怒りに震えるルイに突き付けられる「あなた、もう聞こえないのよ」という絶望、そしてピストル
でも回想シーンとは異なり、彼は即座にピストルを置いて死を拒絶します。
それまで苦しみの中でもがく彼を嘲るようだった謎の女の笑顔はここで消え、悲しそうな表情で見つめた後苛立ったように去っていく…彼女と入れ替わりで登場する小さな炎に向けられる好戦的な表情にぞくぞくします。

そして、「ハイリゲンシュタットの遺書」。 セリフや歌詞としては全く出てこない言葉ですが、ここで彼が歌うのは「この決心を無慈悲な運命の女神が生命の糸を断ち切ろうとするまで、もちこたえさせてくれ」と実在のベートーヴェンが書いた通りの壮大な決意と生への執着。
舞台上に楽員たちがどんどん出てくる演出からも、彼の熱が増していく様子が伝わってきます。
このまま燃え尽きてしまうんじゃないかと思うほど激しくて、でも同時に口の開け方から重心のとり方に至るまで全身を最も的確なかたちで使っているのがわかる。
感情と理性のハイブリッドのような凄まじい歌唱は、未知の衝撃でした。
だいもんを劇場で観るのはこの作品が初めてではないのに、体験したことのない感覚。ただただ凄い。
この方の体は極上の楽器で、その鳴らし方を完璧に体得したことによる究極の歌声を私は聴かせてもらっているのだ、と思うと尊さに手を合わせたくなるような…男役・望海風斗さんは奇跡と努力の結晶なのだと噛みしめる時間。

第6場
私はこの作品を総括すると ルイの人生そのものというより、それを下敷きに人間の精神を描いた物語だと思っているのですが、それが一番わかりやすいのがこの野外コンサートの場面かなと。

ルドルフ大公や音楽家三人衆が言うように「傑作の森」と呼ばれているほどベートーヴェンの作曲活動が充実していた時期なのに、ルイを称えることに重点をおくのではなく 彼の音楽によって目覚めた人間(民衆)の声と、それに相対する貴族たちという構図。
この作品を象徴的に表しているように感じます。

第7場
肝心のルイは人々の熱狂からは離れ、完全に音楽の世界に没頭。
彼の変人っぽさ、オタク感がオスカー(20世紀号)を彷彿とさせる感じもあり、盆が回ってセットが現れる時点で楽しくてしかたない。
でも実際にはぶつぶつ言いながらピアノを弾くのはとても大変だと思うので(かなり複雑な譜面を弾いていますし)、苦労を微塵も見せないだいもんのプロフェッショナルぶりに頭が下がります。
彼とやり合う家政婦あんこちゃんもイイ味を出していて、東京公演ではいつからか日替わりで彼女の愚痴が聞こえてくるように(笑)
そんな家政婦さんにも愛想を尽かされてしまい、散らかした紙が突っ込まれた桶を手に呆然とするルイ。
それを見て笑う謎の女ちゃんの声がまさに歌っているような軽やかさ心地よさで、全編通して音楽のように語っている中でも特に注目ポイントだと思っています。
ちゃっかり家事や雑用を押し付けられてしまった彼女が「は?」ではなく「は。」と言うところがツボなんですよね~大好き。ルイの「(自分に対して)天才だ!」も大好き。
ここの二人のやり取りはツボでしかないです。
お前に捧げてやる、とルイに言われた運命と比べて月光をかわいいという謎の女ちゃん、単にジュリエッタにやきもちやいてるだけ疑惑ありますよね?
だって劇中で使われた第1・2楽章ならともかく、第3楽章なんて"かわいい"の対極(笑)

第8場
ナポレオンとゲーテの邂逅。
大劇場で咲ちゃんと凪様が二人だけでお芝居するのをがっつり見られる喜び。
皇帝と他国の文官、軍人と詩人、素顔のいち個人…二人のいろいろな顔が絶妙なバランスでこの会話に現れているように感じます。
ルイの視点を通さないナポレオンが登場するのはここだけという点でも重要な場面。

第9場
再びルイの下宿。
散々怒られたのか、コーヒーのときとは違ってパンとお水が載ったトレーを丁寧に置き、机をばしばし叩く謎の女ちゃんがかわいい。
お着替えした彼女のピンクドレスが微妙なデザインなのは、自分の身につけるものに無頓着で まして女性のファッションに関してセンスがあるはずもないルイの“想像の生き物”だから…と私は受け取っています(笑)
真彩ちゃんには本来あまり合わない色味なのかなという感じですが、ちゃんとかわいいのがさすが。
彼女のことを都合よく解釈して迫ってくるルイにたじたじになっている画がとてもイイですね。だいきほで初めて見る関係性のような気がする…一生やっててください!と言いたい。
あと!部屋を出る前にルイが言う「かまわんよ」がとんでもなくどストライク!!
オスカーの「気は済んだ?」を聞いたときに通じる感覚が…共感してくださる方はいるかしら?
まあシンプルにだいもんの包容力あふれる低音美声が性癖なんでしょうね、皆さん同じだと思いますが。

第10場
ボヘミアにてゲーテと対面
ルイのいいように通訳にされて最初は戸惑ったりプンプンしてみせたりしていた謎の女ちゃんが、ルイが憧れの人に裏切られ(と彼は感じている)失望するという、ナポレオンのときと同じ苦い結末が近づくにつれ 本来の暗い表情に戻っていくのが切ない。
ここでの会話にさりげなく重要な伏線が隠れていると私は考えているのですが、それは少し後で。

第11場
ナポレオンの敗北を受けて自由主義の弾圧を始めるメッテルニヒ、それに反発するルイ。
メッテルニヒに関しては、最初からずっと主人公と対立する立場なのに 個人的には嫌な印象が全くないんですよね。
脚本と役づくりが絶妙で、国を最前線で動かす人物としての筋が通った人物造形だからでしょうか。
彼の描き方にも「強くて厳しいものは美しい」が現れているように感じます。
カリさまの硬質な美貌がまた役柄に合っていて最高!
そして、「彼ら(民衆)にとっては革命でも皇帝でも音楽でもいいのだ、楽になれたら」という言葉。
小さな炎は、抽象的な情熱や希望だけでなく ルイの心を豊かにした知識や文学や哲学の象徴でもあるのだと思います。
ブロイニング家で勉学への道を開かれてそれらを手にした彼は、たとえ平民であっても 時に”崇高な理想”によって生きる力を得られることを知っている。そういう人間の可能性を信じている。
だからこそ、このメッテルニヒの言葉を受け入れることはできなかった。

さらに、ルイは彼を案じるような言葉をかける謎の女も跳ね除けてオケを指揮しようとしますが、悲惨な結果に。演奏しようとした曲は「運命」
謎の女へのオマージュとして作られた曲が崩壊してしまうのは、ここで彼女が彼から離れていったことを印象づけているように感じます。

過去にルイに投げかけられた苦しい記憶の中の言葉が蘇り、彼の中に鳴り響いていた「運命」が消える。
それでも「ハイリゲンシュタットの遺書」の旋律を必死に呼び起こし、再び音楽が彼の中に戻る。
しかし、孤独に敗北するように自らそれを絶ってしまう…
力尽きたように、ロールヘンの幻影にすがるように、かつてゲルハルトが「(音楽による革命を成し遂げるのは)無理だ」と言った故郷ボンへ。

第12場
史実では、ベートーヴェン没後に亡くなるロールヘン。
あえてルイ存命中に亡くなる設定にしたのは、父親との暗い記憶との並列で 母親のように案じ見守ってくれる存在をも失ったということを意図しているのでしょうか。
そんな風に観客に感じさせるのは、ひらめちゃんの包容力あってこそですよね。
穏やかで優しい声は、心をざわつかせる謎の女の存在とは対極の安心感があってとても印象的でした。
彼女の死を知ったルイは倒れ、小さな炎も消える…

第13場
ロシアの雪原、ナポレオンとの邂逅
英雄ではなく人間ナポレオンとの邂逅。
一人称がこことナポレオン戦争の場面だけ”私”になっているのは、兵士たちと同じ人間という意識のもと話しているということを表しているのだと私は考えています。

独り言のように心のうちを口にし、ぶつけるルイ。
「誰かといたって人は孤独だ」というナポレオンの答えは真理ですが、”誰か”を得ることができた人だけがたどり着ける真理でもあると思います。
やがて、二人は互いの芸術に共鳴していく。この場面での二人は英雄ではなく音楽オタク、戦術オタクのただの人であり、そんな彼らが見せる取り繕わない人間くささが大好きです。
この場面とナポレオン戦争の場面でのナポレオンは本当の彼なのか、ルイが勝手に頭の中で作り上げた虚構なのか…
私は、本当の彼に出会えたのだと信じたいです。

そして、「ハイリゲンシュタットの遺書」でルイがナポレオンへの怒りと反感をもって歌った「勝利のシンフォニー」が二人の掲げる芸術が交わることによって完成する!
この場面の最初でナポレオンが火を起こすのは、二人の出会いによってルイの中に再び炎が灯ることを暗喩しているように思われます。
しかし、銃声によって二人のシンフォニーは終わり、ナポレオンは消える。
再び姿を現した謎の女。

「その嘆く声 私を産んだ」というこの後の「人類の不幸」の歌詞。
運命を呪うというフレーズがあるように、きっと幸福なときに自分の運命に感謝する人よりも 不幸に襲われたとき運命を憎む人の方がずっと多いし、悲しい哉 そういう負の感情の方が愛や感謝よりも強大な力をもっているものだと思います。
自分に向けられた敵意を忘れたくてもなかなか記憶から消えてくれないように。
彼女はそんな悲しみや苦しみの感情(というよりも念という方が近い?)によって生まれた概念のような存在で、すべての人の側に存在するけど人によってどういう風に見えるかは違うのだと思います。
おそらく女ではなく男、もしくは性にとらわれない存在になることもあり得るわけで、それを表現するために前半で謎の女が着ている黒い衣装はスカートではなくパンツスタイルになっている、という意見を見たのですが私も同感です。
ルイに女性の姿で見えていたのは、やはり彼の結婚願望が為せる業かと。
彼の場合はただモテたい!というより、自分の幼少期の家庭環境ゆえに温かな家庭に憧れていたという方が近いと思うので、切なくもあります…

謎の女は、ルイ以外の人間にとっての”謎の存在”とは違う。
でも、それなら彼女はルイにしか見えない、声が聞こえないはずなのになぜナポレオンと会って話をしたかのように語るのか?矛盾では?
…とぐるぐる考えて、ボヘミアでのゲーテのセリフに思い当たりました。
ベートーヴェン、あなたの命運は、奇しくもナポレオンの命運と共にある。」
二人の命運、つまり運命が共にある…ということは、結末から遡って考えれば 二人のそばにいるのは同じ”謎の女”
とはいえ、プロローグのところで書いたように、ゲーテに彼女の姿が見えたわけではないと私は考えます。
真実を追求する姿勢、尊敬するゲーテに助言や意見を求めながら結局は自分の意思を決して曲げようとしない姿勢。
あと、ゲーテは聞いていないけど、自分のことを天才と高らかに言うところとか(笑)
そんな二人に近しいものを感じ、同じ星の下に生まれている、というようなことを見通していたのではないでしょうか。

ナポレオンと出会った夢との狭間にいるルイが見たのは、おそらくナポレオンが死ぬときに見ていた謎の女の姿
それまで彼が見ていた(センスはさておき)綺麗な格好の彼女ではなく、”囚人のような破れた黒衣”を纏い、髪型も無造作な彼女。
彼女はライフルがナポレオンからの形見だという。
苦しむために人は生きていると語り、生きることは不幸だと言って死んでいったナポレオンにとっては、彼女は不幸の果てに死をもたらす存在だった。だから彼女と同じく人の命を奪うものである銃を与えた。

自分の傍らにいた存在を憎むべき不吉なものとしてしか見なかったのは、ナポレオンだけではない。
現世を「苦しみの牢獄」といったゲーテも、その他この物語のすべての登場人物も。
謎の女自身も。彼女は自分が近くに寄ると力尽きたようにくずおれていく人々の間をさまよい、最後にライフルをルイに向ける。

「怖がらないで」
ムラで観たときはルイを制止する厳しい声に聞こえましたが、東京公演ではいつからか泣きそうな声に変わっていました。
ここで思い出してください。
劇中劇でのウェルテルのように、
①少年時代の回想
戴冠式

とここまでで2回 ルイにピストルが渡されたときのことを。
回想シーンでの謎の女は、ルイが過去の自分を殺すことで、苦しみをもたらす彼女から離れられることを望んでいたように見えました。
戴冠式では悲しげな顔の後に苛立ちの表情。「これ以上、私にあなたを苦しめさせないで」「私が死によって苦しみから解放しようとしているのに、なぜ頑なに不幸な生にしがみつくの?」と訴えているようでした。
これらを経て、最後は自らライフルを彼に向ける彼女。
ルイに決断を委ねていた最初の2回に対し、3回目は自分が引き金を引くつもりだったことになります。
彼女は人間から希望を奪い、最後には命を奪うという自らの宿命に囚われているから…

「人類の不幸」以外に自分の在り方を知らないという「苦しみの牢獄」の中にいた謎の女。
最初は彼女を忌避していたルイですが、都合よく家政婦や通訳にして いつからか当たり前のように彼女がそばにいる生活を受け入れていました。
そんな彼の行動は、憎まれ疎まれるべき存在として生まれてきた彼女にとっては戸惑いや驚きをもたらすものであり、やがて自分が必要とされる喜びも感じたはずです。
だから本来するべきではないはずなのに、「過激なこと言わないで!」「イギリスへ行きましょうよ」とルイを案じて干渉するように。
しかし彼が苛立ちのままに「失せろ」と彼女を突き放したことで、自分は愛されることはおろか必要とされる存在ではなく、彼を苦しめ、彼に憎まれる疫病神でしかないのだと再び悟り、今度こそ命を奪おうとする。
「死は救いなの」というのは、彼を不幸な人生から解放するというだけでなく そんなことは望んでいないのに、彼に負の感情を与えることしかできない苦しみから彼女自身も解放されたいという思いゆえの言葉なのではないでしょうか。
しかし、もはや彼には謎の女への恐怖はなく、静かに彼女に語りかける。彼女はそんな彼を理解できず、脅えを見せる…

「人類の不幸」の音源を繰り返し聴いているうち、この曲の調号、転調も二人の一連の感情を表現しているのではないかと感じるようになりました。
謎の女が歌う(1)はa mollから始まります。変化記号(♯や♭)がない、最もシンプルな調号。つまり、すべての人のもとに偏在する彼女の姿。
「かつて地上にあった~私を産んだ」で一瞬長調C Dur(同じく変化記号なし)のような響きに。これは、彼女が本当は幸福や希望をももたらす存在であることを暗示している?
しかしまた短調に戻り、最後は♭4つのf mollに。半音上げる♯が幸福や喜びを、反対に半音下げる♭が不幸や苦しみを表すとド直球で解釈するなら、このf mollは謎の女がそれだけ強く自らの宿命という牢獄に囚われていると示していることになります。
対照的に、ルイが歌う(2)はh mollから始まります。短調ではあるけれど♯2つ。
そして、謎の女が歌ったのと同じ長調の旋律からD Durへ。長調で♯2つ。
2つの♯…ルイと謎の女、二人が牢獄からの解放に近づいていっていることの現れでしょうか。
彼の歌声に重なる謎の女のパートは、「あなたを殺してもかまわないの?」までがa moll
彼女がライフルを下ろすと同時、「どこまでも共にゆこう」でルイと交わってD Durに

(ちなみに、ハイリゲンシュタットの遺書は♭3つのc mollです。
公演解説にある「失恋、孤独、失聴」という3つの不幸を表しているのでは?)

ルイは幸福も不幸も引っくるめてすべてを受け入れ、謎の女こそが喜びも苦しみも包含する(ワンスにも「背中合わせの喜びと不幸」という歌詞がありましたね)運命そのものなのだと受け止め、彼女を愛し抱擁した。
それによって彼女は「人類の不幸」という宿命から解き放たれ救われた…
これが二人の関係についての私なりの解釈です。

でも、ルイは心の奥底では無意識のうちに最初から彼女の正体を悟っていたと思うのです。
彼女に捧げた曲は「運命」。それにナポレオンにとっての彼女とは違い、彼が見る彼女は初めて会ったときからずっと「強くて綺麗」だった。
同時に、彼女も彼に愛される前からきっと彼を愛していた
それにより、「不幸に戦いを挑む」のではなく、不幸と呼ばれた謎の女を愛することで「運命に勝つ」ことこそがルイの運命になったのでしょう。

第14場
謎の女は運命の恋人に。
先ほど引用したハイリゲンシュタットの遺書の中で実際のベートーヴェンは「運命の女神」と記していましたが、この作品では 彼女がルイを一方的に導く運命の女神ではなく、共に歩んでいく運命の恋人であることに意味があるのだと思います。
二人で一つの存在だから。
GRAPHのラストインタビューで「相手役ができたことでもう1人の自分がいるような感覚に」とだいもんが語っているのを読んで、作中での二人の関係はだいきほそのものなんだろうな、だいきほだから演じられた役なんだろうなと感じました。

芸術は「純粋な精神の世界を築くべきだ」と言ったゲーテ、共に勝利のシンフォニーを完成させたナポレオン。
おそらくルイから二人への返答でもある第九は、「人類の不幸」の最後にルイと運命の恋人がたどり着いたのと同じD Dur
失聴したルイに唯一聞こえていた彼女の声からこの曲が産まれる演出は、オケの旋律に対して「おお、友よ、このような響きではない!」ベートーヴェン自身がシラーの詩に加筆し、人の声が加わることではじめて歓喜の歌となる、という構成にしたことを踏まえているのでしょうか。
できれば真彩ちゃんの歌声だからこそ、脚本にもこれを採り入れてほしかったけど!尺の都合ですよね~仕方ない…

歓喜の歌の旋律にのせられた「喜び 苦しみ ともに歌いたい あなたと歌えれば奇跡のシンフォニーという歌詞。
ハッピーエンドだろうと悲劇だろうと関係なく、どんな作品のどんな音楽も珠玉のデュエットとして至福を届けてきただいきほへの 先生からの最大級の賛辞と祝福であるように感じます。

二人がせり下がった後、残されたライフルを回収するケルブ様が肩をすくめて笑っていて。
「もうこれは彼女には必要ないな」と言っているようで、この微笑みを見ると彼女が苦しみの牢獄から解放されたことを改めて感じて泣けてきます。

ロールヘンの手紙に記されたナポレオンの逸話
皇帝の座を追われ 世界を救うことなど不可能に思える状況になっても尚、道を切り拓き前進していったナポレオン。
ルイとやり方は違えど、最後まで運命にうち勝とうとした彼への労いや祝福のように感じます。

私がこの作品で最も好きなナポレオンのセリフは「誰も思いつかなかった法則と正解を探せ!」なのですが、手紙の逸話を聞いていると、雪原でこのセリフを言ったときに見せたような心底楽しそうな笑顔を浮かべて、あの長い脚で馬を蹴って光の中へ駆けていく彼が浮かんできます。
主人公との一番の見せ場が失墜して“英雄”ではなくなった後というのはナポレオンの描き方としてはかなり難しいものだと思うのですが、この人が思い描く世界を見てみたい!と思わせるような輝きと力が漲る咲ちゃんのナポレオン、私はとても好きです。

そして、手紙の最後に綴られた「いつも全身全霊を込めて働く、我が英雄へ」という言葉。
ルイへの手紙なのに 音楽を生み出すとかではなく働くという言葉を使っているのは、彼以外の人物にも当てはまるようにとの意図があってのことだと思っています。
まず当然思いつくのは、手紙で触れているナポレオン
ですが、私はこれだけではないのではと勝手に想像しています。
ルイを演じるだいもん、ひいては舞台に立つすべての雪組生。彼女たちこそ、この困難な状況の中 文字通り命がけで働く英雄。
ステージドアで「昔から宝塚の一番好きだったところは、出演者から出てくるすごくポジティブな光」と語っていたウエクミ先生には、きっと舞台だけでなく素顔の彼女たちをも称える思いがあるのではないでしょうか。
そして最後は、都合のいい妄想かもしれませんが 私たち観客
ルイやナポレオンに比べたら、全身全霊で働いているといえる人は少ないかもしれないし私自身もそんな自信はないけど、みんな日々一生懸命に生きて、つかの間夢の世界に浸るために劇場に足を運んだり公演の映像を観たりする。
そんな私たちを温かく励ましてくれているようで、私は毎回このセリフに胸が熱くなります。

もう一つグッとくるのが、小さな炎と楽員たちは 皆が真っ白に身を包んでいるこの場面も衣装が変わっていないこと。
ゲーテ(凪様)とメッテルニヒ(カリさま)はもちろん、先述の通りガレンベルク伯爵(真地くん)に執事(ゆめくん)と退団者を印象的に配役しているのがこの作品のとても好きなところなのですが、特に小さな炎(ひーこさん)はどの場面もその美しさが鮮烈で、この役への先生の愛を感じます。
単に退団者のセリフや出番を増やすのではなく、ストーリー上明確な意義をもたせ、かつ美しく見せるという点では完璧に近いのではと思うほど。
もちろんそれに応えられる組子の技量あってこそですから、見事に役として息づいた皆さんに心から拍手です。

音楽は第九からオリジナルの「別れに寄す」に。
この曲の調号は♭2つのB Dur
♯2つの第九と対になっているのと同時に、♭つきの長調ということは「苦悩を突き抜けて歓喜に至れ!」をそのまま表現しているのではないでしょうか。
今さらですが、私がこうやって楽曲の調号を勝手に解釈することができるのは、息するように歌うことができるだいもんと真彩ちゃんだからこそです。
お二人の「歌いやすいキー」ではなく、ウエクミ先生や作曲した甲斐先生が最も理想とする形に出来上がっているという確信が前提で成り立つ想像だということは忘れてはいけないと思っています。

皆の中へケルブ様に手をとられて入ってくる恋人。
謎の女としての彼女は人間たちに疎まれる存在だった以上 天上界とは相容れない、天使たちにとって禁忌のような存在だったのかもしれません。
でも、ルイの恋人になったことでケルブ様も笑顔で受け入れてくれたのかなと思うと、よかったねえ…と幸せな気持ちに。
ベテランの専科さんだからこその一樹さんの大きさ、温かさ
ライフルを回収するときといい、セリフは全くないのにケルブ様の微笑みに救われます。
そして、彼女の外見が変化したのは衣装だけでなく髪も。
ウェーブがかった髪だった彼女がここできれいなストレートヘアに変わっているのは、いろいろなしがらみが解けた心の中を投影しているのではないかなと思います。

幸せそうな笑顔で寄り添うだいきほ、お二人が率いる雪組の全身全霊の歌声、紆余曲折を経てサヨナラ公演の舞台に立つだいもんの「人生は幸せだった!」
こんなにも歓喜に包まれる時間・空間はありません。
望海風斗さんと真彩希帆さんに出会えたこと、この作品に出会えたこと、お二人が作り上げるこの作品に出会えたこと。私にとっても心からの幸せです!

真彩希帆「My Everlasting Dream」CD &発売記念番組感想

ファン待望だった真彩ちゃんのソロCD。
先日オンデマンドにて発売記念番組の配信が始まったので、収録曲と併せて感想を書いていこうと思います。

まず番組ですが、10分という短い時間とはいえ全編真彩ちゃんの言葉や歌声にフォーカスしてくれているコンテンツということが本当に嬉しくて。
だいもんに関してもいえることですが、レコーディングの様子を観るのがとても好きなので 2曲のレコーディングをフルで入れてくれていたのも最高でした。改めて思い返してみると、歌っている真彩ちゃんをこんなふうに色々なアングルからじっくり見させてもらえる機会は今までなかったのでは。
トップ就任当初と比べると、その分美に磨きがかかっているとはいえ本当に華奢になられて…この奇跡の声帯がずっと守られますように!と謎の角度からの感想を抱いてしまいました(怖)

ジャケ写撮影の様子も少し観られましたが、ふわふわの髪に白いワンピース(退団会見と同じものですよね)という姿が天使そのもので。ほんっとうにかわいい!
素敵な笑顔をたくさん切りとってブックレットにも入れてくれたスタッフの皆様、ありがとうございました。

そして予告映像の時点でファンを興奮させていた、譜面台の上のだいもん(笑)。
打ち合わせ?練習?の際の一コマのようですが、GIFTのときにサプライズした真彩ちゃんとは違い、おそらくご時世的にだいもんご本人がスタジオに顔を出すということもできなかったのでしょうね。それでもこうやって近くに存在を感じながら歌っている真彩ちゃんがかわいいやら健気やらで、ただただ萌えるしかない😌
あのファイルが実際に使う用だとすれば、保存用or鑑賞用で 最低でもあと1枚は同じものを持っていらっしゃるに違いありません。
それにしても、番組中のほんの一瞬だったのにあれを予告に使うスタッフさん…こちら側にいらっしゃる?

選曲については、ご自身の希望も当然入っているでしょうが ファンの声もとり入れて考えてくれたのが嬉しいですね。La Voileと合わせると、多くのファンが聴いてみたいと思っていた有名なナンバーはほとんど網羅されているのではないでしょうか。

番組の最後は、真彩ちゃんにとって歌とは?というお話。「歌っていう概念じゃないんだと思います。おしゃべりしてるのと同じで…」とおっしゃっていましたが、そう言える時点で選ばれし存在ですよね。
上手下手とか音程とか、そういったことに囚われずにただ歌うことを楽しめる才能と音楽への愛をもっているからこその答えだと思います。これを聞いて私は改めて、真彩ちゃんはやっぱり音楽の天使だなあと感じました。

続いて、楽曲について。

1.清く正しく美しく
La Voileでもプロローグで歌っていましたが、1曲目にこれを持ってきた選曲から真彩ちゃんの宝塚への愛や思い入れの強さ、タカラジェンヌとしての誇りが伝わってきます。
まさに歌詞通り、清流のような澄みきった美しい歌声。普段聞き馴染みのない言い回しが多く使われた文語体の歌詞なのにしっかり伝わってくるのは、アーティキュレーションや抑揚のつけ方が適切に工夫されているからだと思います。
ラスト、鬼のような高音が続くパートも(不自然にならない程度に)子音をしっかり入れているからちゃんと聞きとれますよね。
初っ端から真彩ちゃんのただならぬ才能が爆発しています。

2.うたかたの恋
心の中の思い出をそっと辿るように柔らかく、そしてどこか切なさも感じさせる歌声。
情景が浮かぶようで 収録されている中でも特に好きな曲なので、番組でミュージッククリップを観ることができて嬉しかったです。

3.私だけに
以前の私は真彩ちゃんのシシィが観たい聴きたい!とはそこまで思っていなくて、まあ私が踊る時をだいきほが歌ってくれたらそれで…ぐらいだったのですが、のぞコンCパターンを経た上にこれを聴いてしまったら手のひら返しせずにはいられません。この曲を真彩ちゃんの歌声で聴けて本当に良かった。
無力感や寂寥感の滲む前半の歌声から、自信や強さが宿っていく後半へ。最後までずっと何か(自由を得られない現実でしょうか。それとも自分自身?)に抗うような響きなのが真彩ちゃんらしいなと思います。
素晴らしかった!

4.セ・マニフィーク
前の曲との振り幅〜!!
高音だろうとこの曲のような中低音域だろうと、安定感も響きの豊かさも全く変わらないですよね。知ってはいても毎回感嘆させられます。
「はっ」一つとっても囁くようだったり力強かったり、真彩様があまりにも手練れすぎる。娘役さんたちのコーラスも色気があるかっこよさで大好きです。

5.My Guardian Angel(私の守護天使
真彩ちゃんから囁き声で打ち明け話をされるお友達の気分になれるうえ、少女漫画の実写かと思うほどイケメンな真彩様の少年ボイスまで聴けてしまう神曲
夢見がちな少女のような声がかわいすぎて…
わかりやすいハイライトがなく歌いにくそうな曲だなと正直思ってしまうのですが、盛り上がりの作り方と語りかけるような歌い方が上手くて引き込まれてしまいます。

6.顎で受けなさい
La Voileに続きミーマイから大好きな曲、しかもフルバージョン。
冒頭のセリフ部分から上手いですよねえ、ただカラッと明るいだけじゃない厚みのある感情がのった言い方。
巻き舌最高だし「ガタガタしても 死ぬの待つだけ」は真彩ちゃんファンにとってどんなエナドリよりも元気の源になる。
「“くっ”だらないことだ」のタメを愛しています。

7.心はいつも
鬼のような高音Part2。なのですが、音が上がるほどビブラートに余裕を感じて、ちょっと凄すぎて笑えてきます…
歌詞もメロディーも美しくてとても好きな曲です。
特に「何かを変えること それが愛だと思うよ 意味のない命は きっとどこにもないのだから」が優しくて温かくて、心が浄化されていくよう。

8.アイーダの信念
たぶん実際に真彩ちゃんがお芝居の中でこの曲を歌ったら、叫ぶような凄まじい絶唱になるんだろうなと思います。今回のCDでは適度にバランスをとって、歌う方に重きをおいているのかなという印象。
「誰が“ど”う言おうと」のhiDは中音域〜ファルセットを使う高音域の間の微妙な高さだと思いますが、どの音域も自由自在に操る真彩ちゃんが歌うとパーンと的確に突き抜けるので爽快ですらあります。

9.宝塚我が心の故郷
カバー曲の最後も、由緒正しい宝塚の曲。mitでだいもんが「真彩ちゃんの声だったら歌ってみたい曲」として挙げていたことを思い出してグッときますね。
力強く崇高な歌声が本当に素晴らしいです。

10.My Everlasting Dream−私の永遠に続く夢−
ファーストテイクを使ったというこの曲。何回か録り直せばより完璧な出来になったかもしれませんが、切り貼りせずに1発目の勢いや感情の波をそのまま残した制作サイドの勝利だと感じます。
少し涙声になってる?というぐらい感情が溢れていたLa Voileのときよりも軽やかに、繊細に。
そして「みんながいるから」と歌っていたところが「“あなた”がいるから」に変わっている件。真彩ちゃんご本人は番組で聴いてくれる人 一人一人への思いを込めての変更であると話してくれていましたが、多くのだいきほファンの皆さんが発売直後から言っているのと同じく、私も“あなた”は真彩ちゃんが心から敬愛し、「いつも隣で全開の笑顔で一緒に走り続け」るただ一人の相手役、だいもんのことだと思って聴いています。
そもそも、「荒波に」〜「何度でも立ち上がれるの」のパートはどう聴いてもお二人のお名前を連想させられますよね。
この曲を歌う真彩ちゃんは愛に溢れた本当に素敵な表情をしていて、レコーディングの映像を観ることができて良かったなと思います。

こういった収録で歌う様子には舞台とはまた違う魅力があるので、Many Thanksではだいきほ揃ってメイキングする映像も観られるかな?と期待しています。
ご卒業が近づくにつれて寂しさも増しますが、こうやって先の楽しみも作ってくれていることに感謝ですね。

真彩希帆 1Day Special LIVE「La Voile」感想

真彩ちゃんのミュージックサロンを配信という特別な形で観ることができました。
トップ娘役とはいえ普段は公演の主役ではない彼女の晴れ舞台が中止になってしまったらやりきれない…と不安だったので、無事に開催できて本当にほっとしています。
愛と夢が詰まった魔法のような時間。真彩ちゃんたちがありったけのパワーで届けてくれたセットリストを中心に、感想をまとめてみます。

(せっかく自宅で観られるのだからとメモをとりながら鑑賞していましたが、トークの内容など正確でないものもあるかと思います。ご了承ください。)

開演時刻になると、「1Day Special LIVE」の文字から切り替わりタカラヅカホテルの中へ進んでいくオープニングムービーが。
実際には会場にいられない私たちの気分を上げてくれる、素敵なときめき演出でした。

そして会場が映り、暗転している中で真彩ちゃんが挨拶をするといよいよ開幕です。

1.虹の橋渡りつづけて
すみれ色のドレス、頭には羽根飾りというザ・娘役な装いで登場。

1曲目は タカスペ2014の冒頭で真彩ちゃんがソロを披露したこの曲でした。
これがオープニングとは、なんて粋な構成! タカスペの音源を初めて聴いたときと同じように、美しいファルセットで一気に惹きこまれました。

ただ、映像が引きになったとき客席のテーブルがきちんとセッティングされているのが見えて、細やかな配慮に感激すると同時に 無観客になってしまった寂しさも改めて感じました😢

2.すみれの花咲く頃
途中から男役さん4人が登場し一人ずつ真彩ちゃんと踊るのですが、夢夢しいとはこのこと!という優美な雰囲気にうっとり。
真彩ちゃんと組むタイミングで男役さんたちにもカメラがフォーカスしてくれていたのですが、荘海くんの包容力に溢れた笑顔が素敵でした!

3.清く正しく美しく
こちらも王道な選曲。
センターで男役さんたちとユニゾンの振り付けを踊る真彩ちゃんがとってもかっこよかった!

ここで改めて挨拶と自己紹介。
カメラの向こう側にいる私たちにお手振りしてくれる皆さんの可愛らしいこと☺️
出帆、船出という意味のタイトルについて、そして新タカホでの初のショーである旨のお話の後に自己紹介がありました(それぞれが名乗る度に他のメンバーがフ〜!v(≧∇≦)vと盛り上げていてとってもかわいい)。

そして生演奏(本当に嬉しかった!感謝です)でライブをサポートしてくださる宝塚ニューサウンズさんの紹介(階段セットを駆け上がってノリノリで紹介している真彩ちゃんが男前かつキュートでした)という定番の流れ。

その後は、出演メンバーにとっての「新しい冒険の始まり」=「宝塚との出会い」は?というトークに。

昼の部では、壮海くんが壮一帆さん主演「カナリヤ」の話をすると眞ノ宮くんも壮さんファンだと明かし、一禾くんは湖月わたるさん主演のベルばらフェルゼン編がきっかけと話してくれました。
宝塚出身でお祖母様から三代で宝塚ファンというあやなちゃんは、一番古い観劇の記憶は最前列にいたとき愛華みれさんが銀橋で釣ってくれたこと!とエピソードを披露(これを聞きながら真彩ちゃんは「1列目で観てみたい〜!」と完全にファン目線でした☺️)。

夜の部では壮海くんが初観劇は朝夏さん主演のベルばらフェルゼン編(全ツ)で最前列だった!と語り、眞ノ宮くんは学校の部活で宝塚を再現する活動をしており、衣装も手作りだったので今お衣装部さんにとっても感謝していると素敵なお話。
あやなちゃんは初めて自分から観たいと言って観劇した春野寿美礼さん主演エリザベートに衝撃を受け、ビデオを観ながらフィナーレの男役群舞を練習していたと話してくれました。

さて、では真彩ちゃんにとって宝塚との出会いは?と振られ…

4.大和の初め
真彩ちゃんが度々語っている、初観劇のスサノオ」でアメノウズメ役・音月桂さんに心を奪われたというお話。
もしかしたら今回観られたりする…?と期待していたら本当にやってくれました!!

男役さん4人と踊りながら歌ってくれたのですが、細かく動き回っても音が全くブレない!日本物ならではのこぶしも効かせて、思う存分魅せてくれました。
何より真彩ちゃんが本当に楽しそうに生き生きしていて、観られてよかった!の一言です。

夜の部終演後にTwitterで知ったのですが、なんと音月桂さんが配信をご覧になっていたようで…

憧れの方による初恋の場面をやっているところをご本人に観ていただけるなんて、本当にラッキーなことですよね!
当初の予定通りミュサロ形式で配信なしだったらこんなことはなかったかもしれないわけで、自宅で気軽に観られる配信を行ったメリットが活きたのだなと思います。
真彩ちゃんは音月さんに観ていただけたと知っているのかな、お耳に入っていますように。

歌い終わると「ごめんなさい、急に踊らせてしまって。オケの皆さまも合わせてくださってありがとうございました!」と(笑)。
次は真彩ちゃんの受験の思い出トークへ移り、初受験では男役として挑戦し不合格になってしまったこと、同じぐらいの身長のグループは娘役志望の子ばかりで、一人リーゼントだった真彩ちゃんは正塚先生に笑われたのを覚えていると話してくれました(ここで「リーゼント姿見てみたい」と言ったあやなちゃん、我々の同志です🤝)。

2度目の受験では課題曲の中に「これを歌えば受かるかもしれない」とひらめいたものがあり、「受験番号、3104番!」の再現とともに歌ってくれたのが…

5.松島音頭
これまた真彩ちゃんファンが気になって仕方なかった伝説の曲! 以前新妻聖子さんとの対談でさわりだけ聞かせてくれましたが、今回は伴奏付きロングバージョンです🙌

細かく音程・歌詞を刻んでいくのですが全く問題なくストレスフリー。
民謡ではあるものの変なクセのある歌い方ではなく、真彩ちゃんらしく聴きやすい歌声でした。天晴れ!

6.エンター・ザ・レビュー
真彩ちゃんがはけ、男役さんたちによる歌い継ぎ。
全体を通して感じたのですが、ノーブルな王子様感溢れるあやなちゃん、少年のような溌剌とした明るさが眩しい眞ノ宮くん、ダイナミックに思いっきり魅せてくれる一禾くん、メンバー内では最下級生ながらどっしりしていて風格すら感じさせる荘海くんとそれぞれ個性が出ていて素敵な4人!

7.マダム・ヴォルフのコレクション
ここからは真彩ちゃんがこれまで舞台で歌ってきたナンバーのメドレーです。
あの印象的な前奏が始まり、キター!とテンションが急上昇したところでダークブルーのドレスと黒のファーを纏った真彩ちゃんが登場。

新公のときと違いお芝居の流れで歌っているわけではない、ということもあると思いますが、当時より背伸び感がなく等身大という印象を受けて、これまで真彩ちゃんが積み重ねてきた経験を感じました。
抜け感のある歌い方で自然な大人っぽい艶を醸し出しつつ、不思議と引き込まれるような可愛らしさもあり…素晴らしかったです!

8.ブッシェル・アンド・ペック
キュートなくしゃみが飛び出し、かわいいかわいい真彩アデレイドちゃんが降臨!
いや〜かわいい。歌い方も、ファー振り回してるのも。

9.MONSTRO E AQUELE QUE NAO SABE AMAR. OS FILHOS ABANDONADOS DA PATRIA QUE OS PARIU
きました〜ガトボニ銀橋ソロ!
ここで男役さんたちもクールな黒の衣装に着替えて登場。

表情豊かでチャーミング、元気いっぱいな歌のおねえさん☀️
公演時とは違うアレンジでヴァイオリンがとってもかっこよかったのでリアタイできなかった方にもぜひチェックしていただきたい。

以前真彩ちゃんのこと犬だよ!って力説していただいもんには申し訳ないですが(笑)、ここまでの3曲は完全に気まぐれかわいいネコちゃんでした🐱

10.ようこそあなた
星組時代の新公当時より色気10割増し
スローテンポな曲ですが、ずっと雰囲気を保って観客を惹きつける力がさすがです。
タメ方も上手で挑戦的な微笑みがたまらん!
気持ち良さそうに笑顔で歌っている姿が最高に爆イケでした。

歌い終わったタイミングで一度真彩ちゃんがはけ、この曲のアレンジで踊る男役さんたち。
ソロパートありで見せ場たっぷりです。
あやなちゃんかっこよっ!(具体的にどこを指しているのか不明ですが書き残してあった)

11.失礼な冗談ね
淡いピンクのドレスと同色のチョーカー姿になった真彩ちゃん、ガラッと雰囲気を変えてオペレッタの名曲を聴かせてくれました。
ビブラートもロングトーンも余裕、「hahahahaha〜♪」のカデンツァも、ただでさえ鬼畜なハイトーンなのに1回ずつ歌い方を変えて笑い声を表現する徹底ぶり。
最後なんて楽しそうに頭揺らしながらビブラートで笑ってて、凄すぎて呆気にとられました…
なんでその状態で音程コントロールできるんですか?

12.会津の魂
またまたガラリと曲調が変わって、桜華に舞えのソロ。
真彩ちゃんに当て書きされたという難しい曲ですが、速いテンポに流されず計算して歌っているなという印象でした。
ほんとにどんなジャンルの曲でも歌いこなしちゃうんですねえ。

13.シャロンのテーマ
真彩ちゃんのシャロンが大好きで、琥珀がプレお披露目でよかったと常々思っている私にとっては嬉しい選曲でした。
艶やかな森の妖精!

14.君が照らす未来
あやなちゃんと星組時代の曲を歌ってくれないかなと期待していたので嬉しかった!
暖かくて柔らかい空気感の二人。だいもんと並んでいるときとはまた違い、兄妹のような 幼なじみ同士のカップルのような近しさを感じます。きっと同期だからこそ出せるものですよね。
おでこをこつんと合わせる振付にときめきました🥰

ここでMC。
あやなちゃんとは、初めてセリフをもらったときに報告するなど星組で一緒になる前から仲良しだったという真彩ちゃん。
あやなちゃんの相槌がとっても優しく、真彩ちゃんについて「すべてに全力投球で命を賭けてる」「大好きなきいちゃんの舞台に立てて嬉しい」と言ってくれてグッときました…素晴らしきかな同期愛。
鈴蘭に出演していた二人で「君が照らす未来」を歌えて幸せと語っていました。

お二人が「イケメンガイズ、カモン!」と声をかけて…

15.Night and Day
ジャズメドレーの始まり!
皆さん男役の魅力全開でキザってくれて最高でした。燕尾もかっこいい。

16.Diamonds Are A Girl’s Best Friend〜Material Girl
逆光の中、アカペラでおもむろに歌い始める真彩ちゃん。お衣装はポスターの黒いドレス。
SV全ツでカットされていた冒頭部分をうっとりしながら聴いていると…

殺傷能力∞の「...jewels!」で捕食されました。あれは無理だわ抗いようがない。
この一瞬で私が払った3000円はチャラになったので、ここまでの数十分とここからの時間の合計1時間30分ほどは実質タダ
これが真彩希帆クオリティー

もうね、気だるげな歌い方が最強なんですよ。
キュートな明るさがスパークしてた全ツとのギャップよ…半音下げてちょっとアレンジ変えただけでこんなに別物として魅せられるんですか?
知ってたけどバケモノだな。
振り向きざまのウインクでさらに仕留めにかかってくるし、スリットからチラ見えするおみ足とか我々をどうするおつもりか。

ダイヤモンドだろうが何だろうがお好きなものを貢がせてください💎

からのMaterial Girlをさらりと1フレーズ、からの!リップ音!!
MR全ツでは「真彩ちゃんこんな小技まで覚えちゃって☺️」って呑気に構えてたけど今回は確信犯の追い討ちだったよね。ほんと罪だわ…

ラストのスキャットについては言語化しようがないので、皆さま各自で音源を買ったり映像を確認したりしてください。
全人類に聴かせたい。

17.Dancing In The Dark
プレお披露目である”D”Sデュエダンの曲。
しっとりした曲調のアレンジが素敵で、ずぶずぶ真彩ちゃんの妖しい美しさに呑まれていくのみ…
男役さんたちに腰を抱かれる振付がありましたが、相変わらず驚異のウエストでいらっしゃいました。

ここで再び男役さんのダンスパートを挟み、続いては…

18.This Heart Of Mine
王道プリンセスな真っ白のドレスを着た真彩ちゃん、とんでもなく可愛かったです。こんな姿が見たかった😭

初めて観たときから憧れの「パッツィの館」をイメージしたという場面。
するっと真彩ちゃんのブレスレットを外すあやなちゃんの色っぽいこと…
最後に指輪を渡す振付まで、とにかくロマンチックで素敵でした。
大介先生、真彩ちゃんの希望を叶えてくださりありがとうございます!

ここで一息ついてMC。
男役さんたちを呼んで「おかえりなさい😊」と言う真彩ちゃんがとってもかわいい。
昼と夜で違う内容のトークを聞かせてくれました!

昼の部は「私だけが知っている真彩さん」
荘海くん:ファントムでパリメロの場面に出てくるピエロ役だった荘海くん。メイクや特殊なお衣装も相まって袖であまり組子とお話することがなかったそうなのですが、毎朝真彩ちゃんに声をかけてもらっていたとのこと。
「(メイクのせいで)表情が見えないの…(´·ω·`)」と回想していた真彩ちゃんがかわいすぎて叫びそうになりました。

眞ノ宮くん:真彩ちゃんのミュサロ開催が発表され、出たいな〜と思っていたところ「真彩さんが笑顔を向けてくださる気がしていた」眞ノ宮くん、香盤が発表されて大喜びだったそうです。なんて健気でかわいい下級生…
嬉しそうに肩ポンしてあげる真彩ちゃんは男前でした。

一禾くん:ある日「ホラー一緒に観ようよ〜」と真彩パイセンのお誘いを受けて鑑賞会をすることになり、ホラー映画が得意なのかと思いきや怖がって「美声の悲鳴」を挙げまくっていたというお話。
「(真彩ちゃんの悲鳴)うるさいよね」と何度も茶々を入れるあやなちゃんをしーっ🤫って牽制する真彩ちゃんが超絶キュートでした。
「怖いの嫌いなの、でも観たくなっちゃって…😔 もう観ません!」だそうです、はいかわいい。

あやなちゃん:新公など気合いを入れて臨むとき、真彩ちゃんは同期みんなにおにぎりを作ってきてくれるそうです(以前だいもんとのポスター撮影に竹の容器に入れたおにぎりを持参したエピもありましたね)。
自分は出演しない新公のときも差し入れしてくれたとか。真彩ちゃんのおにぎりをお食事にして本番に挑む98期、とっても微笑ましい☺️

夜の部は「真彩さんのかわいい〜!って思うところ」がお題。
一禾くん:初舞台が星組のこうもり/THE ENTERTAINER!だった102期生。北翔海莉さんの指示を受けてショーの102人ロケット(素敵な場面ですよね)の自主稽古を見てあげていた真彩ちゃんが 初舞台生たちを「歌のおねえさんみたいな笑顔で」励ましてくれたことが忘れられないそうです。

壮海くんとじゃんけんをして見事勝利した眞ノ宮くん:真彩ちゃんとお出かけをする予定だった前日、雨予報だったため てるてる坊主を作って写真を送ってくれたというお話。
おかげで小雨になりました!と嬉しそうな眞ノ宮くんも、大事な用事の前につい てるてる坊主を作ってしまう真彩ちゃんもかわいい。

壮海くん:真彩ちゃんが初エトワールを務めたD”S”で、階段飾りのお稽古の際にかわいい…!と強く第一印象が焼き付いたそうです。
「いつもかわいいなって思ってます」ってさらっと言えちゃうかっこよさ!壮海くん、私たちが常々思っていることを伝えてくれてありがとうございます。
今回のお稽古でも皆のフェイスシールドをデコってくれたり、男役さんのダンスパート振付のときに「元気の出る炭酸飲料」を差し入れてくれたり、真彩ちゃんはいつでも天使全開のようです。

あやなちゃん:ここまでの流れを受けて「あやなはないでしょ?」と照れまくる真彩ちゃんでしたが、あやなちゃんからも「総合して…」ということでお話が。何事にも全力投球で、思いもかけないところで気配りをしてくれるとベタ褒め。
また、先ほど話に上がった炭酸飲料差し入れの際、居なくなったな〜と思っていたらドリンクを抱えて戻って来たものの、数の多さ故に落としてしまう一コマがあったそうで😂
いつでも笑顔がかわいい!と優しく締めてくれる素敵な同期・あやなちゃんでした。

また、98期生の初舞台ロケットを担当した若央先生が今回の振付も担当してくださっています、と紹介がありました。

19.二人の時間
98期の初舞台公演だった「華やかなりし日々」より、壮海くんとのデュエット。
壮海くんの落ち着いた安定感、支えつつさりげなくリードもするような真彩ちゃんの歌声が秀逸なコンビネーションでした。
じっくり聴いたのは初めてだったのですが、素敵な曲ですね。

20.ミー&マイガール
一禾くんとのデュエット。 「ビル!」の第一声がすでにサリーでした。
「こちょこちょ〜」ってくすぐってじゃれ合ったり「イエイッ!」とハイタッチしたり、可愛らしい振付がお二人にぴったり。

キラキラスマイル全開でコロコロ変わる表情がお茶目で、文句なしのヒロインだった真彩ちゃん。
キャッチーな割に娘役さんはハイトーンが続く歌いにくい曲だと思いますが、さすがの出来栄えでした👏
ラストのあのポーズもばっちり!

21.顎で受けなさい
真彩ちゃんの声で聴いてみたいという夢が叶いました😭
カラリと風通しの良い明るさが気持ちいい真彩ちゃんのサリー。
可愛らしさと同時に巻き舌してみたり拳を握ってみたりと男前なチャーミングさもあり、ひたすらに惚れ惚れ…

真彩ちゃんがすごいのは、「コロコロ変わる表情」というのが顔はもちろん声にも当てはまることなんですよね。
「苦い顔して」って歌ってるときは😖って声にちゃんとなってる。

「ガタガタしても死ぬの待つだけ」というフレーズが特に好きなのですが、真彩ちゃんは力を込めるのではなくさらっと軽く歌っていて、こう来たか…!とn回目の予想を遥かに超えられる喜びを味わいました。

22.愛していれば分かり合える
モーツァルト!より眞ノ宮くんとのデュエット。いや〜これが聴けるとは…ありがとうございます。

陽性なキラキラを放つ眞ノ宮くんが歌うと、「君こそエンジェル」が違和感なくすっと入ってきました。
ヴォルフのソロパートの時間を使って手早くヘアスタイルをチェンジした真彩ちゃんが再登場。
少し陰のある表情、コンスですねえ。

この曲を聴くといつも、ゆったりした甘いメロディーに乗せてじわじわと温度が上がっていった感情が 最後に二人の声が重なった瞬間、臨界点を超えて溢れ出すような感覚をおぼえます。
(ブレない歌声でテヌートをしっかり効かせられる歌い手さんに限りますが)
美しい大好きな曲、真彩ちゃんが歌ってくれて感無量でした。

23.ダンスはやめられない
まだまだ終わらない衝撃。
真彩ちゃんのカラオケでの十八番という情報もあり、歌ってほしい!というファンがたくさんいた曲が、ついに。

真彩ちゃんご自身は涙を浮かべていなかったけど、声が泣いてる…と思いました。
鬱々と荒々しく歌えばOK、みたいに単純にはいかない難しい曲。
2回同じメロディー展開が繰り返される中で、観客の心を捕らえつつ歌詞や心情を表現して、クライマックスに向けてボルテージを上げて…
急き立てるように曲が盛り上がっていき、絶叫するようなミックスボイスに向かう葛藤と焦燥よりもさらに感情のコントロールや歌い方の工夫が求められるのではないでしょうか。

おそらく技術的なことは考えずに歌えるレベルまで練習を重ねて、感情を思いっきりぶつけるように歌いきった真彩ちゃん(だいもんが歌った凱旋門の「いのち」について同じようなことを以前書いたのを思い出しました)。
最後のAh〜!というアレンジまで。
ここまでほぼ休憩なくひたすら歌い踊り続けていたことを考えると、スタミナも驚異的です。

2回配信を観ただけの私には、真彩ちゃんがこの曲に詰め込んだ思いを噛み砕くことまではできません。
音源の配信や映像の放映を待ち、じっくり向き合うつもりです。

24.ひとかけらの勇気
あやなちゃんのソロ。丁寧に音を拾い、こちらに届けようとする気持ちが伝わってきました。
休演期間も自分を高めるために過ごしていたんだろうなと思わされる歌声。

この後のMCで真彩ちゃんが「この曲は歌う人の心が見えてくるところが好き」とおっしゃっていましたが、私はあやなちゃんの歌声からひろやかな優しさを感じました。

25.いのちの歌
ベルのような淡い黄色のドレスにラプンツェルのようなヘアスタイルで登場した真彩ちゃん、可憐でありながら凛と美しかった。

世界が元に戻ることはないかもしれないけど、皆が手を取り合ってより良い日々になったら、という言葉とともに届けてくれた歌。

「語るように歌う」の真髄でした。
私の勝手な解釈ですが、「あなたに届けたい!」ではなく「この声が届いたあなたに伝わりますように」というような 優しくて、でも芯の通った祈りの歌声。

アンコール My Everlasting Dream〜私の永遠に続く夢〜
数々の宝塚の名曲を生み出されている青木先生が真彩ちゃんのために作り、真彩ちゃんご本人が初めて作詞に挑戦したオリジナル曲。

いつも懸命に前向きに努力を重ねてきた真彩ちゃんの思いが詰まった、ミュージカルナンバーのようにドラマチックで、難しいメロディーで紡がれた真彩ちゃんにしか歌えない曲

歌詞にはこんな言葉が。
「優しい風に包まれたなら
 一人じゃないよと言われてるみたい
 何度でも立ち上がれるの」
優しい風…望海風斗さんを連想せずにはいられません。

今回のスペシャルライブ、真彩ちゃんがだいもんのお名前を出したことはなかったように思います。
でも振り返ってみれば、様々なところにその存在を感じる時間でした。

Diamonds Are〜は「だいもん」にかけて公演で使われた曲。
Dancing In The Darkは ”D”Sではだいもんがメインで同じ歌詞を歌っていました。
ダンスはやめられないは伝説のmitでだいもんが「真彩ちゃんの声になったら歌ってみたい」と語っていた曲。

とはいえ、意識的に選曲したわけではないのではと思います。
タカラジェンヌ・真彩希帆さんの宝塚人生を振り返るとき、その中には、そしてこれから先には必ず望海風斗さんの相手役としての真彩希帆さんがいる。
唯一無二の相手役であるだいもんと共に歩いてきた道を見据えたとき、自然にこのセットリストが出来上がったんだろうなと感じます。

それに、このような表面的な要素だけではありません。
相手役としてお芝居や歌を一緒に作っていく過程で、だいもんから役の心情や表現について細かく質問されると話していた真彩ちゃん。
妥協のない問いに全力で答えるディスカッションを経てお二人のあの完成度は生まれるのであり、こういうだいもんの姿勢に学んだ真彩ちゃんはどの場面に対しても同じ心構えで臨んでいるはず。
磨きがかかった過去の公演のナンバーも、今回初めて披露してくれたナンバーも、すべてに望海イズムを吸収した真彩ちゃんの心が詰まっているのだと思います。

一人では見られない世界を見せてくれたと語るお二人のご卒業までの時間が、充実したものでありますように。

劇団としても初めての無観客公演となったこのスペシャルライブ、客席が空っぽな状態でテンションを上げてパフォーマンスをするのはとても難しいものだったのではと感じます。
それでも、出演者の皆さんはお稽古状況を知らせてくれたスカイレポートから笑顔で、本番も通常の公演に負けないパワーを届けてくれました。

これまでの場数は伊達じゃないな、と思わされるほど洗練された魅せ方が際立ったあやなちゃん、明るく元気に確かな実力で盛り上げ、真彩ちゃんを支えてくれていた眞ノ宮くん・一禾くん・壮海くん。
大好きな真彩ちゃんがこんな素敵なメンバーに囲まれて無事に晴れ舞台に立つことができたこと、本当に嬉しいです。
そして凄みを増した実力と華やかな美しさで魅了し、愛と夢を届けてくれた音楽の天使・真彩ちゃん、「出会えた奇跡にありがとう」。