ろっぴーのブログ

大好きな方々を愛でたい

2022.2.10

自分のために今日の気持ちを残しておきたくて。

羽生結弦選手の北京五輪での戦いが終わった。
2012年のNHK杯で沼落ちした私にとっても、羽生ファンとして迎える3回目のオリンピックだった。

昨年12月26日、全日本選手権男子FSの日。会場で応援しながら地獄のようなしんどい気持ちだったことを思い出す。

初めて大会での4A挑戦を見守るという緊張が要因のひとつだった。
彼の前にも何人ものスケーターが挑みながら、超えられなかった4Aという壁。
五輪メダリストですら「命の危険を感じた」と語って挑戦を諦めたほどのジャンプ。
平昌の後、羽生さんが本格的に4Aに挑むと話したときからずっと、前人未到を成し遂げてくれるかもしれないというワクワクより心配の方が大きかった。
栄光や実績より、これまで幾度となくケガや病気を重ねてきたお身体の健康が大切だと思っているから。
そんなファンは他にもたくさんいて、でも羽生さんはそれすらわかってくれていた上で挑戦を続けた。
2019年のGPF、FSの日の公式練習で初めてファンの前で4Aに挑んだ。
初めて「4A」を自分の目で見てその壁の高さを知ったけど、同時に彼なら本当にやれるかもしれないと少しだけ不安がなくなった。
あのときどんな思いで跳んだのかはご本人にしかわからないけど、私は「大丈夫だよ」とファンを安心させようとしてくれた意図もあったのかなと感じた。
それからさらに2年が経って迎えたのが全日本でのチャレンジ。
やっぱり現地でそれを見るのは怖くて、もし取り返しのつかないようなケガをしたら…と気が気じゃなかった。

もうひとつ地獄のような気持ちだった理由、北京五輪の代表が決まってしまうのが怖かった。
4年前に羽生さんが決死と言ってもいいくらいの覚悟で金メダルをつかみとるのを見届けて、五輪が選手の人生を変えてしまうことを思い知らされた。
あの舞台にまた彼が挑むと思ったら…ただ出場するんじゃない、金メダル候補として出るのがどれほど過酷なことか。
本当の重さは彼自身にしかわからないけど、一介のファンでさえ想像できるほど茨の道なのは明らかだった。
ジャッジは彼の演技に真にふさわしい評価をしてくれるのだろうか、という不安も。
しかも、それだけならまだしも。
競技ファンだけじゃなく一般層も含めて世界中から注目される、それに伴ってほぼ確実に心無い悪意や敵意が彼を襲うだろうと、これまでの道のりを追ってきたファンなら予想できてしまう。

4A失敗を見るのは怖い。
でも4Aの成功は、ほぼ確実に羽生さんの全日本優勝=北京五輪行きを意味する。
進むも地獄、退くも地獄とはこのことか…という緊張。

そして結局、羽生さんは(おそらく)あのときできる最高の4Aを跳んだ。
その後の演技も完璧そのもので、当然のように優勝して五輪代表になることが内定してしまった。
やっぱり3度目の五輪出場は避けられない定めだったのかな、と受け止めたけど不安がなくなるはずもなく。
でも、翌日の代表選手会見で彼の決意をひしひしと感じて、ここまで羽生さんが覚悟を決めてるんだ、ファンならば北京も全力応援あるのみと気持ちを改めさせられた。


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それから40日余りがあっという間に過ぎて、羽生さんの北京五輪が始まり、今日男子シングルの決着がついた。

羽生さんのFS後、人生で一番泣いた。
平昌でさえそんなことなかったのに、演技終盤あまりの美しさに何も考えなくても涙が出てきた。
一瞬たりともこの伝説を見逃してはならない、となんとか堪えてキスクラまで見届けて。
ほんとうにすべてが終わってから、一気に嗚咽が止まらなくなった。

SP後もその翌日もたくさん泣いた。
でも、今日の涙は全く違う。

SPの後泣かずにはいられなかったのは、彼自身とは全く関係ない原因であのような結果になってしまったから。
精一杯実力をぶつけたうえで転倒したりパンクしたりしたなら、悔しいね、でも切り替えてFSで取り返そう!と思えた。
だけどあれは、完全に運によるアクシデントだった。
全日本の時点であれだけ美しく芸術そのものだったロンカプ。
羽生さんは五輪に向け、さらに非凡な努力を重ねて磨き上げてきたはず。
公式練習の様子を見ても、自信をもって披露できる状態に至っていただろう。
それなのに、完全な形で見せようと挑むことすらできなかった。
こんなに理不尽なことがあっていいのか。
贔屓目と言われるかもしれないけど、羽生さんは誰よりもフィギュアスケートを愛しこれまでの人生を捧げてきた選手なのに。
こんな形でのSP出遅れ、長く現役を続けてきた羽生さんですら初めてだろうし当然ファンは経験したことがない。
少なくとも私は割り切ることなんてできなくて、すべてが終わった今も吹っ切れてはいない。

ただ、今日泣いているときに心にあったのはただただ感謝だった。
どんなときも究極に美しいスケーターである羽生さんへの。
ラストに跳んだ3A~イーグルの美しさといったら!
まるで羽生さんの衣装に合わせたかのように調和した青のリンクであのパートを滑る羽生さんを見て、初めて心の底から「北京五輪の舞台に立ってくれてありがとう」と思うことができた。
不安も絶望も全部を浄化してくれる美しさだった。

10年前に出会って、9年前に沼に突き落とされて、それから今までずっと羽生さんのファンであることを悔いたことは一度もない。
これからも変わらない。
どれだけお金や時間をかけても追い続けたいと思わせてくれるただ一人のスケーター。
今後、彼の記録が塗り替えられるかもしれない。それでも、私にとってGOAT=Greatest of All Timeは羽生結弦しかいない。
これから彼がどんな道を進むのかわからないけど、何があっても心から愛しています。
世界中のファンからのお疲れ様でした!とありがとう!が羽生さんに届いていますように。
あなたを応援することができるのは何よりの喜びです。
どうか健康でいてください。宇宙一幸せでいてください。